「被災者にとどくの?」不信感で集まらない寄付=江蘇省竜巻被害
中国江蘇省塩城市で23日、竜巻や嵐が起き、これにより99人が死亡した。北京市民政局は募金を呼びかけたが、思いのほか、集まっていないようだ。時事評論家は「市民は募金したくないのではなく、信頼できるルートがない」と解説する。
国営メディア・中国中央テレビ(CCTV)は、北京市民政局が同日中にSNS新浪微博の公式アカウントを通じて、江蘇省竜巻被害の寄付のための銀行口座情報を公開したことを伝えた。
しかし、公表からわずか2時間のうちに7万人以上の微博ユーザが、寄付金の不正利用を疑う大量の批判的コメントをつけた。「堕落した政府が財を築くチャンスがきたようだ」「寄付すれば被災者に届くかな? やっぱり私は寄付しない」。コメント欄は翌日、規制された。
中国江蘇省の気象部門によると、23日の竜巻は、半世紀のうち中国で最悪の被害をもたらしたという。法制晩報は、2003年以降、最も破壊的な威力をもつ嵐と伝えた。この自然災害で、800人以上がケガを負い、1600世帯が家を失った。5日たった今も、電気や水、ガスなどの使用に困難な世帯は数万に及ぶ。
四川大地震 巨額な寄付金 8割の7500億が用途不明
微博ユーザの怒りは前例にもとづいている。2008年、四川省で起きた大地震では数万人が命を落とした。テンセント(騰訊)金融によれば、慈善団体、有名人や国民からの資金は、記録破りの652億元(およそ9780億円)に達した。
のちに、災害支援には額が大きすぎたことが判明する。清華大学の調査報告によると、寄付金の約8割にあたる501億元(およそ7515億円)は、用途不明で浪費されたという。のこりも、赤十字社など慈善団体へ流れていることが明らかになり、大半が被災地支援に使われていないことが明らかにされた。
2011年には、慈善活動をしているはずの赤十字社の関係者が、高級スポーツカーやブランド商品を恋人にプレゼントしていることが発覚。中国全体で、寄付活動のマイナスイメージは定着してしまう。
寄付金のイメージについて「積年の人々の感情を映している」とし、政府に対する不信感はかわらないものになったと、姫来松弁護士はラジオ・フリー・アジアの取材に答えた。
寄付したいが、信頼できるルートがない
時事評論家の周曉輝氏は大紀元の取材に寄せた文章『なぜ寄付しないのか?』で、寄付が集まらないことについて、被災者へ繋がる信頼あるルートがないことを指摘。また、寄付のしくみが監督されていないこと、寄付金の用途と詳細を公表しないことなども上げた。
「世界でも経済が早く成長している国なのに、なぜ災害救済の資金は寄付に頼るのか」「納税者の面倒を見るという職責を放棄している」と、政府が募金を国民から集める問題について指摘した。
(翻訳編集・佐渡道代)