高温、洪水、高いCO2濃度-異常気象が増える恐れ=米環境当局
5月以降、世界各地で異常気象が続いている。5月末フランスでは大雨による洪水が発生。インドでは史上最高の51度の気温を観測。7月半ばから中国の長江地域や東北地域などの各地で豪雨による大洪水が見舞われ、上海などの南部地域では40度を超える猛暑が続いた。米国でも8月中旬、南部で大雨による洪水被害が各地で発生した。ニューヨークやフィラデルフィアでは体感温度が43度を観測し、高温注意報が出された。
23日に日本を通過した台風九号も猛威振るった。この影響で関東地方や北海道に強風、大雨、道路の冠水などの被害をもたらした。
洪水や猛暑などの異常気象の主因はエルニーニョ現象と言われる。エルニーニョ現象を引き起こす要因は二酸化炭素の排出量増加で地球温暖化と海面水温の上昇だとされる。
米国海洋大気庁(NOAA)が8月上旬に発表した最新調査『2015年気候現状』では、15年の気候変動に関する世界平均気温、二酸化炭素(CO2)濃度などの主要指標が観測史上の過去最高を更新し、地球温暖化が進行していると示した。
世界各国450名の科学者によって作成された300ページに及ぶ同報告書によると、2015年の世界のCO2濃度の年間平均値が14年と比べて、2.2ppm増加して399.4ppmとなり、危険水準とされる400ppmに迫った。
エルニーニョ現象を引き起こす太平洋の15年の海面水温が14年に観測した史上最高温度を上回ったという。
温暖化で氷山が大規模に溶けたことで、毎年平均海面が3.3ミリずつ上昇。人工衛星で観測した結果、1993年と比べて15年の世界平均海面水が7センチ余り高くなり、過去最高記録を更新。
昨年全世界の平均気温が前年と比べて、0.1度高くなった。また工業化(1750年ごろ)前と比べて1度上昇したという。極地平均地表温度は、20世紀初め(1901年)と比べて2.8度上昇した。16年の平均気温について、NOAAは15年よりさらに高くなるとの見通しを示した。
ドイチェ・ウェレ中国語電子版の報道によると、ドイツ・ポツダム気候変動影響研究所(PIK)のジェイコブ・シェーヴェ(Jacob Schewe)氏は、世界各国のCO2の排出量を現在の水準で推移していくと、昨年12月第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で締結されたパリ協定において、設定された世界の平均気温上昇を工業化前と比べて「1.5度以内」に抑えるとの目標達成が困難になるとの見解を示した。
平均気温上昇が「1.5度」を超えると、洪水、干ばつ、猛暑、台風などの異常気象による災害や被害がいっそう深刻化し、世界のサンゴ礁が危機に瀕する状況になる。2300年に海面水位が1.5メートル上昇。もし平均気温上昇が「2度」になると、海面水位が2~3メートル上昇。グリーンランドの氷床と万年雪が消え、世界各地の海岸都市も消滅すると予測されている。
シェーヴェ氏は、将来2050年までに石油化学エネルギーの使用を停止すれば、CO2排出量が確実に減り、平均気温上昇を「1.5度以内」に抑えることが可能だという。しかし短時間での代替エネルギーへの転換は政治的、経済的にもほぼ不可能にみえる。
(翻訳編集・張哲)