ヒラリー氏、習近平氏を「洗練されている」と褒める=ウィキリークス
米国務長官で民主党大統領候補のヒラリー・クリントン氏は、習近平中国国家主席について、前任の胡錦涛氏よりも「洗練されていて、影響力がある」とし、褒めていた。ウィキリークスにより漏えいされた2013年以降の非公開のスピーチ記録と電子メールにより明らかにされた。
「広く影響力を持ち、経験のある政治家」
ヒラリー氏の選挙事務長ジョン・ポデスタ氏のGmailから漏えいした電子メールによると、クリントン氏は同氏とのメールのなかで、習氏について「少なくとも、広く影響力を持ち、経験のある政治家」としている。特に、軍へのコントロール強化と、北朝鮮に対する姿勢などの政策は、米国にとって「良いこと」ととらえていた。
習氏について「彼は中国国内と国外の関係者に働きかけるレバーの違いを分かっている。称えるべき」とまで記していた。
公式には、ヒラリー氏は習近平氏について対照的な姿勢を示していた。2015年、習近平氏が女性の権利についてスピーチしたとき、5人の女性活動家が投獄されたことを取り上げて「恥知らず」と非難していた。
クリントン氏には20年以上の米中外交の実績がある。そのうえで、習近平氏の経済と社会の改革は「彼の権威を象徴するもの」とし、「彼は経済改革のために計画を立てている。いくつかのことは大々的なものだ。例えば社会改革の一つに、一人っ子政策の終了」とクリントン氏は書いている。
2015年、中国の家族計画「一人っ子政策」は終わり、2人目を持つことが許可された。
中国軍は「最大の懸念」だった
クリントン氏は2013年11月、金融大手CMEグループでの非公開スピーチで、習氏について「共産党と軍のなかで、非常に早く、自らの権力を強化してきた」と発言。
また、クリントン氏の考える2008年から2012年の中国周辺地域の「最大の懸念」は、外交政策に影響をもたらす中国軍の存在だったことを明かした。習近平政権がスタートして、習氏による軍の支配が強まったことで、中国軍と協力していた北朝鮮の動きを制御することができるとの見方も示していた。
「習近平国家主席は、その権限を強化しようと努めている。これは良いことだと思います」と、クリントン氏は述べた。
胡錦涛・前中国国家主席は、多くの点で、「チャイナセブン」と呼ばれ中国を率いる他6人の共産党中央政治局常務委員と同等と見なされていた。例えば、体制内の政策実行のうえで、中心的な役割を一度も担ってこなかった。中国専門家によると、この背景には、引き続き権力を維持したい江沢民元国家主席の影響が胡政権下では強かったためとみている。
(翻訳編集・佐渡 道世)