車に乗って2時間ほど行くと、グランドキャニオン・ウエストリムの景色が目に入ってきた。 インディアンのガイド・ルカさんが、グランドキャニオン・ウエストリムの三つの名所を教えてくれた。1つ目は西側にあるグアノポイント、2つ目は東側にあるフアラパイ、3つ目は、イーグルポイントにある有名なスカイウォークだ。
グアノポイント
グアノとは、こうもりの糞という意味。数十年前、ここで化石化した驚異的な量のこうもりの糞が掘削され、高品質の原料として化学肥料工場に提供されていた。 今ではすっかり荒れ果て、岩がむき出しの状態だ。峡谷の隙間から遠くを見渡すと、山々が一望できる。
下を見ると西へ流れているコロラド川が見える。ルカさんは、「 大昔、ここは何度も海水が上がってきました。地球のプレートが移動した時に、ここが高く持ち上げられたのです。コロラド川は百万年の歳月を経て、今日のような盛んな勢いのある川になりました」 と話してくれた。
観光客が記念写真を取っている断崖について、「ここにガードレールがあれば 安心ですね」と言うと、「 ここはインディアンの地区で、インディアンはグランドキャニオンの自然を守るという使命があります」と答えた。ガードレールをつけると、観光客が峡谷のエネルギーを存分に感じることができず、造物主に対しての畏敬の念を持つことができないと考えているようだ。ガードレールがなくても、事故は一度も起きたことがないという。
スカイウオーク
次に向かったのは、「スカイウォーク」。絶壁から約 21メートル空中に突き出たU字型の通路で、幅20メートル、床面がガラスでできている。体重90kgの人が822人まで歩けるという。橋に着くと、熱いくらいの陽射しを受け、まぶしく感じる。頭を下げると、自分が空中にいることを体感できる。コロラド川を望み、両側にそびえ立つ赤色の岩壁を尻目に、4千フィートの上に立つ自分。想像を絶する壮大な景色に思わず息をのむ。スカイウォークを歩くと、まるで空の上を歩いているような気分だ。
フアラバイ
3つめの場所は離れているため、全て観光すると約1日かかる。太陽が沈む時間になり、私たちは最後の名所・フアラパイに向かった。フアラパイは、休憩場所もあり、西部の風情も体験できるスポットだ。農場は、まるで映画の西部劇を再現しているよう。観光客は無料で乗馬を楽しめる。広々とした野原を馬に乗って駆け回ることもできる。日が落ちてきて、私たちは農場で宿泊することにした。ホテルは精功に建てられた小さな木屋で、中は綺麗に飾られていた。インディアン独特の図案をあしらった家具が趣をそえる。年配のカウボーイが空き地で焚き火をして暖をとっていた。私たちは車座になって火を囲み、西部の民謡を聞きながら、この大峡谷の長い歴史をしみじみと感じた。
(翻訳編集・真子)
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