分析 トランプ大統領の態度が一転 「一つの中国」容認の理由は(1)
大統領就任後、自身の公約を次々と実行し続けるトランプ新大統領。オバマケアを廃止し、メキシコ国境の壁の設置費用をメキシコ側にも求めるなど、精力的に「有言実行」の姿勢を示し続けている。
一方、中国に対しても終始強硬姿勢を取り続けるトランプ大統領に対し、中国側は慎重な姿勢を崩していない。トランプ大統領は、中国の為替操作や、北朝鮮への支持などに対し不快感を示し、中国製品に45%の関税をかけるといった対抗措置を取ると明言している。さらに大統領就任時には、米国でこれまでタブーとされてきた台湾総統との電話会談まで行ったうえ、米国が1979年以来合意してきた「一つの中国」の原則を見直すことも示唆した。これらのことはいずれも、中国を立腹させ、同時に震撼させるに十分だといえる。
米中間の緊張が続く中、2月8日、習近平国家主席に対し、トランプ大統領からの新年祝賀が届いた。祝賀には、トランプ大統領の就任時に習主席が送った祝電に対する返礼と、中国人民への新年のあいさつのほか、「習主席と協力し、米中双方に更に有利となるような建設的関係を促進することを希望する」と記されていた。
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