リアルにきれいな空気求めて…需要高まる「空気」ビジネス
大気汚染による悪影響は、中国の公衆衛生上の大きな懸念となっている。2010年の世界疾病研究の報告書によると、大気汚染で2500万人が健康を害し、120万人の早期死亡を招いたという。この風潮をふまえ、空気の即販や空気缶など「空気ビジネス」が国内外で展開されている。
この記事であげる「空気ビジネス」の対象となる「きれいな空気」とは、空気清浄機のような「汚染度の高さが改善された空気」ことではなく、実際に自然のままの空気が商品化されていることに注目したい。
大気汚染が深刻な内陸部・西安では、「森の新鮮な空気」と銘打たれた缶入り空気が販売されている。業者によると、空気は「人の立ち入らない森林」から採取されたもので、缶一個が18元(約300円)、スプレー式で50回噴出することができ、持続発射しても2分間はもつという。
空気缶は、消費者には評判が良く、リピーターもいると業者は主張する。西安の農業部長は、もし大気汚染が更に深刻になれば、30万元を更に投資してこの缶入り空気を生産ラインに載せ、一個3元にまで価格を下げたいと意気込む。
調査会社グローバル・インフォメーションによると、中国は世界で最も大きな空気缶の販売市場であり、2018年には1億6000万ドルに達する見込み。2016年3月、世界銀行理事会は北京、天津、河北省の空気汚染対策プロジェクトに5億ドルの借款提供を決めた。
広東省北部・清遠は、清涼な空気が流れる山林のなかにあり、春は花見客が訪れる。2016年3月19日、現地市民は山道でビニール袋に入れた空気を観光客へ即売。その場で楽しめる小さな袋は10元(約160円)。お土産になるほどの大きな袋は30元(約480円)だ。
中国国内メディアによると、地元市民は「スモッグに苦しむ都市市民は清涼な空気に飢えている」として、この「空気売り」を始めたという。 観光客は、ここの活動は、都市部と農村部の両方で環境保護を促進するための効果的な方法だと答えた。
「新鮮な空気に飢えた」人々のニーズに答えるのは国内企業だけではない。ニュージーランドの会社は、新鮮な空気を詰めた酸素缶を1缶24.99ドルNZD(約2000円)でネット販売している。同国クライストチャーチにある中華系会社は、「クィーンズウォールの山岳地帯から採集した空気」を、特殊技術で新鮮なまま缶に詰めた空気缶を、中国最大手ECタオバオで販売中。
(翻訳編集・武蔵/佐渡 道世)