中国の大気汚染は大きな商機をもたらしている。2015年12月北京では、史上初の最高レベルの大気汚染赤色警報が2度も出された。2022年の北京冬季五輪に向けて、世界でも中国の「空気の質」に高い関心があつまる。そこで世界の2大企業IBMとマイクロソフトは、中国の空気品質予測・予報という新市場に、本格参入をはじめた。
IBMとマイクロソフト ビジネス市場の争奪戦
2015年、米IBMとマイクロソフトは、それぞれ中国にある実験室で独自の空気汚染予測技術を開発し、中国政府と提携した。
IBMの顧客は北京環境保護局。2015年末に、北京市が出した初の空気汚染赤色警報は、IBMの予測技術を利用したものだ。また、北京と合同で2022年の冬季五輪を開催する河北省張家口市政府もIBMと協定を結び、冬季五輪の計画を進めている。
マイクロソフトは、中央政府の環境保護部、福建省の環境保護局、成都市環境保護局と協定を結んだ。
中国の政府部門以外に、一般企業の顧客争奪戦も展開している。特に再生可能エネルギー発電関連の企業が対象だ。現在、すでに30社の中国太陽光発電メーカーがIBMの空気品質予測技術を利用している。
空気品質予測アプリ
空気品質を予測する基本技術は、アメリカ地球化学者のダスティン・ゲシカ(Dustin Grzesik)が開発した。彼は2013年、北京に住んでいた際にBanshirne.comという北京の空気品質を予測するホームページを開設し、スマートフォン用アプリも制作した。
アメリカのある非営利組織Berkeley Earthの専門家、ロバート・ローダー氏によると、天気を予測出来れば、さらにいくつかのパラメーターを増やすだけで空気品質を予測することができる。
現在「認知計算(cognitive computing)」の技術進歩のお陰で、より複雑な予測計算のアプリも可能になった。天気や交通状況、土地使用の数値、そして政府部門の各地観測センターが発表するリアルタイムの観測データを利用して、10日以内の空気品質を予測できる。
(翻訳編集・山本アキ)
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