中国当局が邦人記者を妨害、人権活動家を取材中
中国の女性人権活動家・倪玉蘭氏を取材しようとした日本人記者が、中国当局から妨害を受けたうえ「事件を報じるな」と警告されていたことが明らかになった。ラジオ・フリーアジア(RFA)が報じた。
匿名の人物がRFAに明らかにしたところによると、4月17日、人権活動家の倪玉蘭氏を東京新聞の平岩勇司記者が取材に訪れたところ、公安局により、撮影した写真を消去するよう求められたほか、プレスパスとパスポートをチェックされ、倪氏を取材してはならないと警告された。
倪氏は世界的に評価されている人権活動家。2011年にはオランダ政府が優れた人権活動家に贈る「人権擁護者チューリップ賞」を受賞し、2016年には中国人弁護士の郭建梅氏、チベット人作家のツェリン・オーセル氏に次ぐ3人目の中国人女性として米国務省の「世界の勇気ある女性賞」を受賞。いずれも当局の妨害により授賞式に出席できていない。
倪玉蘭氏はこれまでも何度も住居から不当に追い出されている。4月16日夜、倪氏とその家族は8人の屈強な男たちによって、既に4万元(約63万円)を支払い済みの賃貸アパートから追い出されると、無理やり車に押し込まれた。その際、携帯電話も取り上げられ、車中に数時間監禁された後、一軒の廃屋に置き去りにされた。
17日、倪氏はRFAに対し、事件のあとすぐに警察に電話をしたと語っている。だが、事件そのものが公安局によるものとみられるため、捜査は一向に始まらない。
住まいを奪われた倪氏は現在、派出所の施設で寝起きしている。「派出所で私たちの持ち物が返ってくるのをひたすら待っている。財産はどこに行ったか分からない。警察は私たちに水も食べ物もくれず、トイレも使わせてくれない。現在の状況をどのように伝えても知らん顔」。
倪氏はRFAに、当局が同氏らを暴力によって違法に家から追い出し、海外メディアの記者の取材を妨害したことに対しても、強い憤りを感じていると語った。
倪玉蘭 人権活動家、元弁護士
弁護士時代に、強制収用に遭った住民の弁護を引き受けたために、過去2回投獄された。2002年には住居の強制取り壊し現場を撮影したという理由で警察から激しい暴行を受け、同年11月には「公務執行妨害」により1年の実刑判決が下されるとともに弁護士資格もはく奪された。獄中で適切な治療を受けさせてもらえなかったため半身不随という大きな障害が残り、現在は車いす生活を余儀なくされている。
2008年北京オリンピックでは、住居を強制収用された数千もの住民のための擁護活動を行ったため、たびたび警察に連行され投獄されている。
(翻訳編集・島津彰浩)