東漢のころ、陸績(りくせき)という非常に博識で多才な男性がいました。呉郡呉県(現江蘇省蘇州市)出身で、天文暦学に精通し、「渾天図」を著しました。また、「易経」と「太玄経」に注釈をつけた歴史書を後世に残した人物としてしられています。
陸績には、有名な逸話があります。彼が6歳の時、太守を務めている父親に連れられて袁術(えんじゅつ)将軍の家を訪れた時のことです。
陸績は、お茶菓子として出されたミカンを、ぜひ母親にも食べさせてあげたいと思いました。彼はミカン2個をこっそりと袖のポケットに隠し、持ち帰ろうと思いました。すると、帰り支度の時に、ミカンが陸績の袖からポロリと床に落ちました。
それを見た将軍は、陸績をからかいながら言いました。「家に遊びに来るのはいいのだが、ミカンを密かに持って帰ろうとするのはどうかな?」
「母はミカンが大好きなので、食べさせたいと思い、持って帰ることを思いつきました」と陸績が答えました。
母親思いの陸績に感心した将軍は、お土産としてたくさんのミカンを陸績に持たせました。
(翻訳編集・豊山)
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