イスラム教国55カ国との首脳級会合「米アラブ・イスラム・サミット」がサウジアラビアの首都リヤドで開かれた。参加した米トランプ大統領、サウジアラビア王国、ヨルダン国王、エジプト大統領らと並ぶ(MANDEL NGAN/AFP/Getty Images)

「過激派最大の被害者はイスラムの人々」トランプ大統領 50以上の中東の指導者へ過激派掃討を呼びかけ

就任後初のドナルド・トランプ米大統領は21日、外遊先のサウジアラビアのリヤドで開かれた中東の55カ国との首脳級会合「米アラブ・イスラム・サミット」で演説し、過激派の広がりには最良の立場で臨み、この掃討を呼び掛けた。

初の外遊先としてイスラム教国の中心的立場にあるリヤドを選んだのは、同氏が掲げる「過激派テロとの戦い」とのメッセージを強調し、イスラム教への敵対ではないとの懸念を解消させる狙いがあると見られている。

スンニ派の国を中心とする55カ国に向けた演説の中で、トランプ大統領は、テロ組織に資金が流れることを防止するために「テロリスト資金摘発センター 」を開設すると発表した。このセンターは、テロ行為を続ける過激派の拡散を防止することに合意している、ペルシャ湾岸諸国の6カ国 の連合「湾岸協力理事会(GCC)」と米国のパートナーシップ協定に基づく。

GCC加盟国はサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、オマーン、カタール、クウェート。米国はこの6カ国と情報共有し、サウジと対立するイランなどを念頭に、テロ組織の資金調達ネットワークの摘発を目指す。

イスラム世界の中心であるサウジアラビアに過激派一掃を掲げるセンターを設置することで、過激主義の広がりを抑えることができる強力な象徴となる可能性がある。

トランプ大統領は、イスラム教国内での過激派組織の掃討の重要性を訴えた。「欧米主導のメディアは、しばしばテロリストの手による破壊と殺人のニュースであふれるが、現実にはイスラム過激派の大多数の死傷者は、イスラム教国にいる無実のイスラム教徒だ」と述べた。

「これまで、この地域の(平和への)ポテンシャルは決して改善したことはない」とトランプ氏は集まった指導者に語った。「この未開拓の地の発展の可能性について楽観視できないのは、流血と恐怖に瀕しているためだ。(平和と)暴力の共存はないし、容認もできない。許すことも、無視することもない」。

就任後、初めての外遊となるトランプ大統領。今後の予定はリヤドを20~21日、テルアビブ、エルサレム、ヨルダン川西岸を22~23日、欧州にわたってローマを24日、ブリュッセルを25日、シチリアを26日にそれぞれ訪問する。

(翻訳編集・佐渡 道世)

関連記事
トランプ前大統領は11日、TikTokについて、米国の国家安全保障に対する脅威としながらも、禁止すれば影響を受ける子どももいるとしたほか、米メタ・プラットフォームズ傘下フェイスブックの拡大につながるだけとの考えを示した。
2024年米大統領選で返り咲きを目指すトランプ前大統領の陣営は、共和党の候補指名に必要な代議員数を3月19日までに獲得できると予想している。幹部が18日、明らかにした。
米ワシントン連邦地裁のタンヤ・チャトカン判事は13日、トランプ前大統領が2020年の大統領選挙結果を覆そうとした疑惑を巡る訴訟で、免責特権は適用されないとの判決を不服としてトランプ氏が上訴しているため、訴訟手続きを一時停止した。
11日までに実施したロイター/イプソス調査で、2024年米大統領選に向けた共和党の候補指名争いでトランプ前大統領が同党支持層の支持率で圧倒的優位を維持した。
米国のジョンソン下院議長は、2020年1月6日に国会議事堂で起きた事件の4万時間を超える映像を公開すると決定。ターナー下院情報特別委員長は、このことは称賛に値する「重要な」一歩だと述べた。