中国保険大手の安邦トップ 身柄を拘束 金融界の腐敗取り締まり
中国金融界における腐敗取り締りの動きは強まっている。中国大手保険会社「安邦保険集団」は14日、呉小暉会長(51)が「個人的な理由でしばらく職務を遂行できなくなった」と発表した。これまで多くの中国メディアに取り上げられた呉氏の「身柄拘束」説を裏付けたものとなった。
英紙フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)中国語版サイトは5日、安邦の取引先など関係者4人の話として、呉氏はすでに出国を禁止されていると報じた。中国メディア「財経網」は13日、呉氏が当局に連行されたと独占スクープとして報じたが、記事はその後削除された。
中国国外の華字メディア「明鏡郵報」は4月25日、4月9日に失脚した保険監督管理委員会(保監会)トップの項俊波主席の供述が直接呉氏の拘束を招き、巨額の貸付金や資本流出などの問題で当局の調べを受けていると報じた。
呉氏は2014年に米名門ホテルのウォルドルフ・ アストリア・ニューヨークを買収したことで初めて世界の注目を集めた。昨年11月、トランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏とニューヨークで会談し、マンハッタンのオフィスタワーの買収や再開発などで提携交渉を行ったが、3月に協議は終了した。また、米保険会社フィデリティ・アンド・ギャランティ・ライフは昨年10月に16億ドル(約1750億円)で安邦保険集団に買収されることで両社で合意したが、4月17日に買収案の取りやめを発表した。
浙江省出身の呉氏は3回の結婚を経験した。2004年に2番目の妻と離婚し、かつての中国最高指導者、鄧小平氏の孫娘と再婚。その後、安邦保険集団を創立し、自ら会長兼CEOを務めていた。
呉氏は鄧氏一族との関係で安邦保険を発展させたとみられている。2004年に開業した同集団は、わずか十数年間で設立当初の登録資本5億元(約80億円)から推定資産7000億元(約11兆2630億円)に飛躍的に増加させ、大手企業と肩を並べるようになった。呉氏も中国で屈指の富豪実業家となった。
「明鏡郵報」は、北京の情報筋から、鄧小平の孫娘がすでに呉氏と離婚し、安邦保険に関する財産分与を断ったと伝えている。
(翻訳編集・王君宜)