昨年末から実施されてきた不動産価格抑制措置は近く終了するとの見方が出ている。(GREG BAKER/AFP/Getty Images)

中国不動産企業、7月土地購入が大幅増加、抑制措置が近く終了との見方も

中国当局がこのほど発表した7月中国不動産開発企業の土地使用権落札総額と1~7月まで「国有土地使用権譲渡収入」統計に大幅な増加がみられた。国内専門家は同統計から、当局が昨年末から実施してきた不動産価格抑制措置が長く続かないと判断し、住宅価格がまた上昇すると予測する。

中国国家統計局が14日に発表した7月「房地産業土地成交価款」(不動産業土地成約価格)」が前年同月比41%増の5428億元(約8兆6848億円)に達した。同指標は不動産開発企業が地方政府との間で行われる土地使用権譲渡の取引金額を示すものだ。

また財政部が公表した1~7月「国有土地使用権譲渡収入」は前年同期比37.3%増の2兆3357億元(約37兆3712億円)に上った。

今年3月から全国50の地方政府が相次いで、住宅購入規制、住宅販売規制、住宅ローン規制など厳しい価格抑制政策を次々と導入した。このため、一部の都市では住宅販売件数が落ち込み、住宅価格の下落もみられた。中国国内メディアによると、不動産開発企業の総負債規模が5~6兆元(約80~96兆円)に達した。しかし、中国不動産開発企業が依然として、土地を「購入し続けている」。

中国国内経済評論家の劉暁博氏は14日、この現象に関して自らのブログ(新浪博客)で評論記事を掲載した。

劉氏は、当局の抑制措置を何度も経験した不動産開発企業は、価格がある程度落ち着けば、抑制措置が直ちに解除され、3~4年以内不動産価格が再び上昇基調に入ると確信していると分析した。「今、土地を手に入れるのは安全だと考える企業はほとんどだ」という。

劉氏は、不動産開発企業が今年一年間、土地使用権譲渡に投入する資金の総額は4兆元(約64兆円)に突破するとの見通しを示した。

中国国内メディアによると、不動産大手の華遠不動産股份有限公司前会長の任志強氏は7月、中国経済成長が大幅に鈍化すれば、不動産価格抑制政策が即座に中止され、不動産価格が上昇するとの見解を示した。

任氏によると、過去経験から、当局の不動産抑制措置の実施周期は1年から1年半だ。今回の抑制措置は1年半続き、今年末または来年初めに終了すると予測した。

また中国金融学者の易憲容氏は今年3月に、昨年末から始まった抑制政策の目的は市場の過熱を沈静化するためであって、価格を下落させることではないという見方を示した。

一方、海外在住中国問題専門家の文小剛氏は、中国不動産企業と多くの国民が、当局が不動産バブルを崩壊させないことに賭けていると指摘した。

資産運用のツールが少ない中国では、当局の方針の下、国民や企業などは不動産市場に投資してきた結果、巨大な不動産バブルが生じた。このバブルが崩壊すれば、個人だけではなく、不動産企業から銀行まで倒産し、中国または世界金融危機が発生する恐れがある。

文氏は、中国不動産市場における「抑制措置実施、措置解除、不動産価格再上昇」との悪循環の根本原因は、中国最大な「地主」である中国共産党が土地財政への強い依存にあるとの見解を示した。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。