北朝鮮の弾道ミサイル、再び日本上空通過 グアムへ届く飛距離
[東京 15日 ロイター] – 北朝鮮は15日朝、日本上空を通過する弾道ミサイルを再び発射した。ミサイルは首都・平壌付近から東へ約20分間飛行し、北海道襟裳岬の東方約2200キロの太平洋上に落下した。飛距離は前回8月29日に発射した中距離弾より約1000キロ延びており、方角を変えれば米領グアムに届いた可能性がある。
<韓国も対抗して弾道ミサイル>
9月11日に新たな制裁決議を採択したばかりの国連安全保障理事会は、日米の要請を受け、日本時間16日午前4時に緊急会合を開くことを決めた。米当局者は、同盟国の防衛に対する米政府のコミットメントは引き続き「強固」だと言明。ティラーソン米国務長官は声明を出し、「新たな対応」が必要としたうえで、「こうした挑発行為を繰り返せば北朝鮮は外交的、経済的に孤立を深めるだけだ」と非難した。また、中国とロシアが北朝鮮に対し直接的な行動をとる必要があるとの見解を示した。
米太平洋軍は、北朝鮮が中距離弾道ミサイル1発を発射したことを検知したと発表した。ただ、ミサイル発射により北米あるいは米領グアムへの脅威はもたらされなかったとした。
インドから帰国したばかりの安倍晋三首相は官邸で記者団に「再びこのような暴挙を行ったことは断じて容認できない」としたうえで、「今こそ国際社会の団結が求められている」と語った。韓国はすぐに対抗措置に動き、海に向けて弾道ミサイルの発射訓練を行った。
米国の同盟国の一つ、オーストラリアのターンブル首相も即座にミサイル発射を非難。スカイニュースに対し「ミサイル発射は、北朝鮮の体制による新たな、危険かつ無謀な犯罪行為であり、地域と世界の安定を脅かしている。われわれは徹底的にこれを非難する」と述べた。
<中距離弾の火星12型か>
北朝鮮のミサイルは日本時間午前6時57分、平壌近郊の順安付近から発射。7時04─06分に北海道上空を通過し、7時16分に襟裳岬の東方2200キロの海上に落下した。韓国軍合同参謀本部によると、最高高度は770キロ、飛距離は3700キロだった。
小野寺五典防衛相は防衛省で記者団に、「(北朝鮮から)グアムまでは3400キロ。十分そこまで届く飛翔距離が出た。8月29日に発射された火星12型と同様の中距離弾道ミサイルだった可能性がある」と説明。「弾道ミサイルの性能と信頼性を着実に向上させている」と語った。海上自衛隊はP-1哨戒機を派遣し、落下したとみられる地点の状況を確認している。
小野寺防衛相はマティス米国防長官と電話で会談し、「目に見える形で圧力をかけ続けることが重要」(小野寺氏)との認識で改めて一致した。
<日米韓は事前に警戒>
北朝鮮の弾道ミサイルが日本上空を通過したのは6回目。前回8月29日のミサイルは同じコースを飛び、飛距離2700キロ、最高高度は550キロだった。
北朝鮮は9月3日に6回目の核実験を実施。国連安全保障理事会は11日、北朝鮮に対する原油や石油製品の輸出制限を含む新たな制裁決議を全会一致で採択した。これに北朝鮮は強く反発していた。日米韓など各国は新たな挑発を警戒。安倍首相はインドから日本への帰国時間を繰り上げていた。
*内容を追加しました。