バイデン米政権でインド太平洋地域政策を統括するキャンベル調整官は5日、ロシアによるウクライナ侵攻が続いても米国がインド太平洋地域に力を注ぐ姿勢は変わらないと強調した。力を背景にした影響力を拡大する中国を念頭に、日本やインド、東南アジア諸国連合(ASEAN)の同盟国やパートナー国との関係を深化させると述べた。
米政策シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)で講演したキャンベル氏は「21世紀において米国が関与する主要地域はインド太平洋だ」と述べ、同地域の「技術、貿易、安全保障、政治、外交から目を逸らしてはならないことを認識している」と語った。
キャンベル氏はロシアによる侵攻により米欧のほかアジア、インド太平洋地域でも前例のない連帯感が見られたと述べた。事例として1つは西欧の天然ガス不足でアジアの主要パートナー国が支援を提供したこと、2つめは先進7カ国(G7)などが実施する厳しい対露制裁に大半の同志国が加わったことを挙げた。
キャンベル氏は、欧州とアジアは二つの異なる舞台だが「平和と安定を維持するガバナンスと規範においては一つの舞台であるといえる」とした。かつてない強い連携は「アジア、インド太平洋地域の国々がウクライナを教訓として、二度と不安定で破壊的な作戦が行われてはならないとの明確なメッセージだ」と強調した。
バイデン大統領は3月29日、ホワイトハウスでシンガポールのリー首相と会談した。共同声明では、米国はインド太平洋地域の同盟国やパートナー国への継続的な関与を再度表明した。同地域の経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の立ち上げにも両首脳は協力していくことを確認した。
バイデン米政権はASEAN首脳会談を3月下旬に実施する予定だったが、延期されている。この会議では、アジア地域への関与を強調するとみられている。
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