アメリカ合衆国インド太平洋軍のジョン・アクイリーノ司令官は、中国共産党(中共)が「茹でガエル」戦術を用いてインド太平洋地域での緊張を徐々に高めていると指摘している。
この戦術により、中国の行動のリスクが低く評価されがちであると語るアクイリーノ司令官は、地域諸国に対し中共の不正行為を継続的に批判するよう呼びかけている。
「フィナンシャル・タイムズ」とのインタビューでアクイリーノ司令官は、在任中の3年間に中共が軍事力を大幅に強化し、地域の安定を脅かす行動をエスカレートさせたと語った。
中共は「力こそが正義を決定する」という姿勢を地域に押し付けているとし、中共を「攻撃的で大胆かつ危険」と司令官は批判している。
さらに、中国の国際法を破る行為を繰り返し指摘すべきであり、地域諸国が一致団結して声を上げるべきだと述べている。
また昨今の南シナ海での強硬な姿勢にも触れ、特にフィリピンの排他的経済水域内にあるセカンド・トーマス礁での威圧的な活動について言及している。
中共は2016年の国際仲裁裁判所の判決を拒否しており、その地域の主権を主張している。
司令官はこうした中共の威圧的な活動に対し、米軍が新しい現代的な能力を速やかに展開することで、衝突を避けるための迅速かつ緊急の行動が必要であると強調した。
これには、センサーと武器を結びつける高度なネットワークの開発も含まれる。同氏の指揮の下でインド太平洋地域の軍事的指揮権の移行が間近に迫っている。
最近の報告によると、中共は台湾海峡の中間線を越える戦闘機の飛行も増やしており、これまで緩衝地帯とされてきた中間線が侵されている。中国の軍用機は台湾西南部の防空識別圏に侵入し、また海岸警備隊は台湾近海の金門や馬祖の島々で強硬な行動を取っている。
「これは中国の圧力戦略であり、その範囲と規模は拡大し続けており、緩めることはない」とアクイリーノ司令官は警告する。
台湾国防安全研究院の舒孝煌・副研究員も、中共の行動は意図的に緊張を高める「グレーゾーン」戦略の一環だと分析している。
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