ロシアのウクライナ侵攻が続くなか、中国とロシアの関係は益々緊密化している。中国共産党がイランや北朝鮮のようにロシアに致死性兵器を直接提供しているという明白は証拠は今のところないものの、欧米は中国共産党がロシアの戦時経済を支えているのではないかと懸念している。
中国訪問を終えたイエレン米財務長官は、ロシアのウクライナ侵攻を物質的に支援する企業は「重大な結果」に直面すると警告した。キャンベル国務副長官も、中国共産党がロシア側を支持していることは米中関係の安定性を脅かすと述べた。バイデン大統領も4月初めに習近平と電話会談した際、同様の懸念を表明した。
近日中に訪中する予定のショルツ独首相も、中国共産党指導部に同様の懸念を提起すると予想されている。
2022年2月に始まったロシア・ウクライナ戦争以降、中国共産党はウクライナ問題で中立を維持すると主張してきたが、政治的・外交的にロシアを支持し続けている。さらに、深化し続ける中露間の貿易関係は、ロシアが西側諸国の経済制裁に対抗する資本を提供することとなった。2023年の両国間貿易額は過去最高の2400億ドルに達した。
中国がイランや北朝鮮のようにロシアに致死性兵器を提供しているという証拠はまだないが、他の方法でロシアの侵略戦争を支援し続けているという兆候が増えているという。米情報機関が公表した評価報告書によると、中国からロシアへの工作機械、マイクロエレクトロニクス、その他の技術の輸出が大幅に増加しており、ロシア側はこれらの技術をミサイル、戦車、航空機などの兵器製造に利用している。
報道によれば、中国はロシアに軍事用途の地理空間情報を提供しており、民生用5G通信と衛星技術分野での両国の協力も重要な情報収集と軍事的成果をもたらす可能性がある。さらに、プーチン氏が戦争を始めてから2年以上の間に、重要な軍事用途を持つ中国製品が大量にロシアに流入している。その中には、掘削機、ブルドーザー、ドローン、戦車や戦闘機の部品、大型トラック、トラクター、半導体集積回路などが含まれる。これらの製品や技術は、ロシアの軍需産業の強化に重要な役割を果たしている。
注目すべきは、中国企業はほとんどの場合、ロシアに直接輸出するのではなく、キルギス、トルコ、アラブ首長国連邦など第三国を経由して軍民両用品をロシアに供給し、制裁リスクを回避していることが多い点だ。米国など西側諸国は、中国は直接戦争に参加していないが、その行動が戦闘を長引かせ、ウクライナ市民の犠牲を増やしていると考えている。中国のロシア戦争支援は現在、米中関係の主要な障害の一つとなっている。
中国共産党によるロシア支援は軍事用途に限らず、戦時経済全般に及んでいる。中国の税関データによると、2022年の中国からロシアへの集積回路輸出総額は1億7900万ドルに達し、2021年の2倍以上となった。一方で、中国からトルコへの集積回路輸出額は2021年の約7300万ドルから2022年には約1億2500万ドルに急増したが、同時期のトルコの経済状況は悪化していた。興味深いことに、同じ時期にトルコからロシアへの集積回路輸出は50%以上増加した。このことから、中国が第三国を通じてロシアに大量の半導体・集積回路を供給したのではないかとの疑いが持たれている。
米メディア「ポリティコ」の昨年3月の報道によると、中国企業は2022年下半期、トルコとアラブ首長国連邦を経由してロシアの顧客に1000丁の自動小銃や、ドローン部品、防弾チョッキなど軍事転用可能な物品を輸送していた。このように、中国企業は様々な形でロシアの戦争遂行能力を支えている。米国など西側諸国は、こうした中国の行動がウクライナ情勢の長期化と悪化を招いていると厳しく批判している。ロシアへの経済的・技術的支援をめぐり、中国と西側諸国の対立は今後さらに先鋭化する可能性がある。
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