米インド太平洋軍司令官ジョン・アクイリノ海軍大将は3月下旬、米議会軍事委員会で「中国は3年以内に台湾を侵攻する準備ができているだろう」と警告を発した。
「中国、ロシア、北朝鮮による緊密な体制の前例のない行動は国際規範に挑戦している」ーー。アクイリノ司令官は3月20日から21日にかけて、下院と上院の軍事委員会で証言した。 さらに、国際秩序を根底から覆し、自由で開かれたインド太平洋に取って代わる手腕、能力、意図を持つのは「唯一中国(共産党)だけだ」と述べた。
経済成長が鈍化するなかでも、中国は軍備拡張と近代化のために積極的な投資を続け、自治権を持つ台湾を威圧するグレーゾーン作戦を続けている。 これについて、アクイリノ司令官は「台湾を武力統一するための能力を整えるタイムラインだ」と述べた。
そして、中国の軍事力増強は「第二次世界大戦以来の規模」と指摘し、400機以上の戦闘機と20隻の主要な軍艦を追加し、弾道ミサイルと巡航ミサイルの在庫を倍増させ、人工衛星を50%増加させた3年間の経過を説明した。 おそらく最も懸念されるのは、中国の核弾頭在庫の急速な増加であり、その在庫は2020年以降2倍以上に増加しているという。
中国は、2024年に軍事支出を7%以上増額して3,465兆円(2,310億ドル)とすることを発表しており、防衛費は3年連続で少なくともこれと同額で増えることになる。 しかしアクイリノ司令官は、中国は透明性が欠如しているので、実際には公に認めている以上に防衛費を支出しているとの考察を述べた。
同司令官の証言は、前任者であるフィリップ・S・デービッドソン大将が2021年に議会に提出した中国共産党による潜在的な台湾侵攻の計画を裏付ける。
中国共産党は台湾を自国の領土と主張し、民主的に統治されている自治島を併合すると脅している。 中国政府の強硬な姿勢により「台湾周辺での人民解放軍の活動と態勢に新たな、より危険な現状が確立され、台湾周辺の軍艦哨戒や台湾海峡の中心線を越える軍用飛行が正常化された」とアクイリノ司令官は語る。
また、中国共産党の軍事的侵略がフィリピン付近での紛争のリスクを高めていることを指摘した上で、 「本当に重要なホットスポットで、最悪の事態に陥る可能性がある」と述べた。 「現在フィリピン艦艇に放水したり衝突したりしている… それがどこまで続くのか心配だ」と述べた。
抑止力強化の焦点は、米国の強固な同盟国とパートナーのネットワークであり、「長期的な競争における最も重要な非対称的優位性」である。
アクイリノ司令官は最近米バイデン政権が発表した複数の安全保障政策について説明した。米英豪のAUKUSの下で豪に対して通常兵器搭載の原子力潜水艦を取得する道筋、北朝鮮のミサイル発射に関するリアルタイムのデータ共有を確立した日韓米協力の新たな段階、インドと米国の防衛加速エコシステムの立ち上げ、パプアニューギニアとの防衛協力協定など。
「我々の同盟関係、多国間取り決め、パートナーシップ、友好関係、そしてファイブ・アイズ(オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国、米国の情報協力関係)の関係は、このネットワークにとって不可欠であり、地域の安全保障を強化する上で重要な役割を果たしている」とし、 「この3年間で、我々の強力かつ強靭で、相互に補強し合う関係で結ばれるネットワークは、かつてない方法で協力関係を強化した」と語った。
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