独裁政権
金正男氏の暗殺 北朝鮮は5年前から計画=韓国専門家
1981年ごろ、平壌で撮影された金正日一家5人の写真がある。長男・金正男氏は子供のころ、執務室の席に座る父親から「大人になったら、ここに君は座り、命令を出すんだ」と言い聞かされた。2500万人の独裁政権国のトップに立つのは、兄弟で最年少の金正恩氏になるとは、2人とも当時は頭の片隅にもなかっただろう。
一国の指導者の長男であった彼の姿は、2017年2月、マレーシアのクアラルンプール国際空港の監視カメラに収められていた。群衆のなかに紛れる太った45歳の男性。禿げ上がった頭を帽子で隠していた。突如、若い2人の女性が、背後から正男氏を襲った。
マレーシアのクアラルンプール国際空港で2月、正男氏は殺害された。実行犯2人が使った凶器は国連が大量破壊兵器に指定するVXガス。一日数万人が利用する同国最大の国際空港で、白昼堂々行われた暗殺劇だった。正男氏は病院に搬送されたが、間もなく死亡した。他、在外公館の北朝鮮籍の男性8人が事件への関与を疑われたが、証拠不十分などで起訴されず、全員が北朝鮮に帰国したとされる。
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中国当局は、金正恩政権が崩壊した場合、代わりに金正男氏を新たな指導者に擁立しようと考え、金正男氏を保護してきた。金正男氏は将来、北朝鮮の新たな政権の指導者と見なされていた。
北朝鮮の金正恩労働党委員長の兄、金正男氏がマレーシアで殺害された後、海外メディアは金氏家族の身の安全や行方に注目した。金氏の息子の金韓松(キム・ハンソル)氏は北朝鮮側に殺害されるとの懸念から、イギリスのオクスフォード大大学院への進学を取りやめ、現在中国マカオに留まり、中国当局の保護を受けている。英紙「メール・オン・サンデー」電子版が19日報道した。
金正男氏がマレーシアで殺害され、関連諸国は神経をとがらせている。中国は北朝鮮との石炭貿易を中止して制裁を加え、マレーシアも抗議として駐平壌大使を帰国させた。北朝鮮の人権問題だけでなく、北朝鮮をテロ支援国家として再指定する問題も国際社会の主要なテーマとして浮上する可能性もある。また、正男氏を非公式に保護してきた中国が不満を露わにするなか、中朝関係の今後の行方に注目が集まる。