インタビュー:米税制改革は最も厳しい局面に=ライアン下院議長
[ワシントン 25日 ロイター] – ライアン米下院議長は25日、ロイターとのインタビューで、トランプ政権が目指す税制改革は、今後ロビイストによる活動が予想されるため、最も厳しい局面に入るとの認識を示した。
その上で、税制改革法案を早期に可決して景気を底上げするためには、迅速な行動が必要だとし、共和党の結束を呼びかけた。
ライアン氏は、今後税制改革の詳細が発表されると、様々な業界からのロビー活動が始まると指摘。こうしたロビー活動により米国では、レーガン政権下の1986年以降、抜本的な税制改革が行われていない、と説明した。
減税により連邦政府の赤字が拡大することはないと主張。「税基盤を拡大し、税率を引き下げ、脱税の抜け道をなくし、経済成長を加速させる。財政赤字への大きな影響は予想していない」と説明した。
ライアン氏は24日に、税制改革案を11月23日の米感謝祭の祝日までに下院で通過させたいとの考えを示している。
インタビューでは、一部民主党議員からの支持も得られるとの見方を示した。
また、「ドリーマー(幼いころに親と一緒に米国に不法入国した若者)」を保護する法案を議会が可決することを望んでいると語った。
<オバマケア巡る法案、先送りか>
また、ライアン議長は、共和党議員が年内に、医療保険制度改革(オバマケア)改廃に関連した法案を採決に持ち込むことはないとの見方を示し、同党が中間選挙のある2018年に問題を先送りする可能性を示唆した。
トランプ大統領は昨年の大統領選でオバマケア見直しを公約に掲げ、大統領就任後はその実現を目指してきた。下院は5月にオバマケア改廃法案を可決。しかし上院では7月と9月に改廃法案の可決を試みたが、いずれも党内からの反対で否決された。
大統領は今月、オバマケアに基づく保険会社を通じた低所得者対象の補助金を停止すると発表。その後、アレクサンダー上院議員(共和)とマレー上院議員(民主)が補助金の支払いを2年間維持する超党派の法案で合意した。
ライアン議長は、超党派の法案が下院で可決される見通しについて問われると「来年に取り掛かるべき事柄だと思う」と語った。
また、共和党が7年続けてきたオバマケア見直しに向けた取り組みは終わったかとの問いには「ノー」と答えたものの、「今年中に実現できるとは考えられない」と付け加えた。
議会の日程は、税制改革や政府機関の閉鎖回避に向けた法案の審議などで年末まで埋まっている。
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