中国朱元首相の息子、不良債権率の過小評価・通貨過剰発行を批判
中国投資銀行大手、中国国際金融有限公司「中金公司」(CICC)前最高経営責任者(CEO)の朱雲来氏はこのほど、中国金融機関の不良債権比率の過小評価と通貨の過剰発行を指摘し、金融危機につながると警告した。朱雲来氏は、朱鎔基・元首相の息子だ。近年、朱氏は中国経済における過剰生産問題、企業債務の急増、不動産市場バブルなどについて度々批判し、国内世論に注目されている。
朱氏は北京で28日、中国メディア「財経網」が主催した「財経2018年会議」に出席した。朱氏は、中国では依然として、国内総生産(GDP)の高成長率を追求しおり、企業の高負債率を無視しているとした。
同氏によると、中国金融機関の資産規模(企業への貸出)は約300兆元(約5100兆円)だ。「銀行などは現在の不良債権比率が1.7%と公表している。実際には、もっと高いだろう。かなり過小評価されている」と指摘した。
中国当局が設定した成長率目標を達成するために、投資が依然として経済の主要けん引力となっている。しかしその流動性を支えるために、当局が紙幣を大量に印刷し市場に供給している、いわゆる通貨過剰発行が「深刻だ」と朱氏は述べた。
朱雲来氏は現在の中国不動産市場を事例として挙げた。「中国国内の都市部では、住宅物件の総面積は300億平方メートルに達した。一人当たり30平方メートルで計算すると、10億人の国民が住めるという結果になる。しかし、現在全国の都市部の人口が7.5億人だ。つまり、2.5億人分の住宅が余っている」。
「それでも、不動産市場への投資が過熱化している」と朱氏が指摘。
同氏は、中国鉄鋼メーカーの過剰生産能力がまだ続いていることなどにも言及し、今後中国経済の下振れ圧力と金融リスクへの警戒が必要だと強調した。
(翻訳編集・張哲)
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