米軍、在韓米軍家族の退避を否定、専門家「北朝鮮にサインと見なされる」
米軍の広報担当者は6日、米国の家族を韓国から避難させる計画はないと発表した。共和党議員が最近、朝鮮半島情勢は危険であり国防総省に退避を求めるとしたことに対して回答した格好だ。専門家は、在韓米軍家族の退避をめぐる発言は、軍事行動のサインと北朝鮮が捉える恐れがあり、慎重にならなければならないとの見方を示した。
米上院軍事委員会のメンバーである共和党のリンゼー・グラハム上院議員がCBSの番組「フェイス・ザ・ネイション」で3日、「軍事衝突は近付いている。残された時間は少ない」 と述べ、米国防総省に対し、配偶者や子供など在韓米軍の扶養家族を退避させるよう求めた。韓国には約2万8500人の米兵がいる。
参考:米国防総省、在韓米軍の家族を退避させるべき=共和党議員
米広報紙スターアンドストライプスは6日、インド・アジア太平洋地域を担当する米国太平洋司令部(USPACOM)の話として、軍隊員、従業員、家族の安全は最優先事項であり、緊急時の計画は準備されていると述べた。
「自発的でも、強制的でも、軍の扶養家族の移動の予定はまだない。在韓米軍の家族の滞在方針についても変更はない」と、海軍報道官は同紙のメール取材に答えた。
金正恩政権は北朝鮮当局は米国本土に到達する核兵器開発を急いで進めている。米トランプ政権は「軍事行動は選択肢にある」との姿勢を崩していない。
在韓米軍司令官によると、北朝鮮は南北境界に8万人規模の特殊部隊を保有し、砲台1万3000基を軍事境界線沿いに配備している。しかし同紙は、韓国側の状況として「北朝鮮は攻撃してくることはないと信じられている」と説明する。
上院軍事委員会のメンバーであるグラハム議員は同番組内で、国防総省に、今後は在韓米軍の家族を韓国に送らないように促した。
専門家「北朝鮮が挑発と受け止める」
ワシントンを拠点とするヘリテージ財団の防衛専門家で元陸軍中将トーマス・スポイラー氏は、北朝鮮はこのような動きを挑発と見るだろうと語った。「米国が軍事行動に出る場合、(米軍)家族は退去させなければならない。現時点ではその段階ではないと、私は考える」「性急に動かぬよう注意しなければならない」。
「北朝鮮は、米軍が軍事作戦の実質的な準備の兆候として、家族の退避が一つのサインと解釈するだろう」と述べた。
(編集・佐渡道世)