中国最高人民検察院は11日、重慶市前トップの孫政才氏について、収賄罪で立件したと発表した。(Feng Li/Getty Images)

閣僚級3人失脚 2期目の習指導部、反腐敗運動を緩めず

10月の党大会閉幕後、2期目を発足させた中国の習近平政権は、汚職・腐敗取り締まりの強化を続けている。この約2カ月の間、すでに3人の省レベル(閣僚級)高官が失脚した。また、1人の軍高官が汚職容疑の調査中に自殺した。

 河北省前副省長が失脚

中国共産党中央規律検査委員会(中規委)は12日、張傑輝・河北省前副省長が「重大な規律違反」の疑いで、当局の取り調べを受けていると発表した。張氏は、10月下旬に5年一回の党大会閉幕以降に失脚した3人目の省レベル以上の高官だ。

11月下旬、中国共産党中央宣伝部の魯煒・副部長、遼寧省の劉強・副省長は汚職容疑で取り調べを受けている。また、ほぼ同じ期間に、汚職の疑いで中規委の調査を受けていた、中央軍事委員会政治工作部の前主任の張陽上将は首つり自殺をした。

魯煒氏の失脚を受けて、中規委は同ウェブサイトで、「党大会閉幕後、1カ月も経たないうちに初「トラ」となった魯煒氏を失脚させたことは、習近平氏の党内核心地位と反腐敗を取り締まっていく強い決心を反映した」との評論記事を掲載した。

また同記事では、党大会後の「反腐敗の闘争に関して、緩めず、停まらず、再出発する」と強い文言を並んだ。

 党大会閉幕、司法当局に起訴された孫政才

中国最高人民検察院(最高検)は11日、孫政才・重慶市前トップに関して収賄の容疑で、立件し捜査を開始すると発表した。最高検は孫氏に対して、一定の行動の自由を奪う「強制措施」の処分を下している。

四川省重慶市の前党委員会書記の孫政才氏は一時、次世代リーダーとして、10月の党大会で最高指導部である中央政治局常務委員への昇格を有力視された。今年7月、中紀委は「重大な規律違反」の疑いとして調査を行っていると発表し、同は失脚した。さらに、9月中国共産党は同氏に対して、最も重い党籍剥奪処分を下した。

11日の最高検の発表によって、孫政才氏が党大会後、司法当局に起訴された初の閣僚級高官となった。

孫氏はこれまで、江沢民や曽慶紅らの引き立てを受けて、北京市党委員会の常務委員と秘書長、中国農業部の部長、吉林省党委員会書記などの重要職に抜てきされた。

江派重要メンバーである重慶市元トップの薄熙来が12年3月に失脚したのを受けて、孫氏が同年11月に、同市トップに任命された。

一方、中国共産党は10月の党大会開催中、失脚した江派高官の周永康や薄熙来などとともに、「党の最高権力の奪取を密かに謀っていた」と孫政才氏を痛烈に非難した。

 習政権は反腐敗の勢いを緩めず

中国共産党は10月25日に、習近平政権二回目の最高指導部メンバーを発表した。その中で、過去5年間の党内反腐敗・反汚職キャンペーンを主導してきた王岐山氏の退任に伴い、中央組織部前部長の趙楽際氏が中規委トップに就任と示した。

一部の海外メディアは、趙氏が王岐山氏と同様の反腐敗運動を続けていかないだろうとの見解を示していた。

 

(翻訳編集・張哲)

関連記事
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。