奈良平安の古式ゆかしい「成人加冠式」 大学キャンパス内で厳かにとり行われる
奈良・平安時代に貴族の間で行われていた成人儀礼「成人加冠式」が20日(土)に國學院大學渋谷キャンパスでとり行われる。
「加冠式」は元服(げんぷく)とも呼ばれ、古来より年の初めに、一人の人間を「大人」として認める重要な通過儀礼としてとり行われてきた。十二、三歳ころから十五、六歳にかけて催され、元服の儀式を経ることで「大人」として認められることになる。
元服の「元」とは首(はじめ)の意味で、男女とも髪を結いあげ、男子は髻(もとどり)を結いあげ、冠物(かぶりもの)を常用するようになる。女子は前髪をあげ、晴れのときには櫛・釵子(さいし)・簪(かんざし)などの髪揚げ具を着けるようになる。元服の「服」は、童形服から、大人の服へと改めることを意味する。
式では、平安衣装をまとった男子が冠、女子は釵子(さいし)と呼ばれる髪飾りを「成人の証」として頭に着け、大学内の神殿に奉告。保護者や教職員、在学生からの祝福を受ける。その後の祝賀の儀では在学生が新成人に神楽舞などを披露するようだ。
國學院大學で「成人加冠式」は平成20年から毎年行われており。国内の大学では、神式の成人式を公式行事として行うのはここだけ。他にはない色鮮やかな衣装が特に女子学生に好評で、近年は募集開始とともに定員に達する人気行事となっているという。
近年、成人年齢の引き下げが国会で議論されるなど、成人意識のあり方が問われている。成人を迎える若者にとって日本人とは何かといったものも希薄になりがちな中で、日本文化の理解と新成人としての強い自覚を促す「成人加冠式」は意義深いものと言えるだろう。
(大道修)
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