ダボス会議、中国当局者が市場開放を約束も、欧米「実行を見たことがない」
中国習近平国家主席の「経済ブレーン」と呼ばれる劉鶴・党中央財経領導弁公室主任は24日、スイスで開催中の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、世界各国首脳、政府と経済界関係者の前で、中国当局は今後、「国際社会の期待を上回る」市場開放を展開し、改革を強化していくと発言した。
劉氏は具体的な政策に言及しなかったが、中国は今後外国企業に対して、特に金融業や製造業での市場開放を一段と進めていくと強調した。
また劉氏は「中国はあらゆる保護主義に断固反対する」と述べた。
昨年、ダボス会議に出席した習近平国家主席は、貿易保護主義を批判し、「経済のグローバル化を断固として推進していく」との基調講演を行い、「アメリカ・ファースト」政策を掲げる米トランプ政権をけん制した。
中国、真の市場開放はあるのか
劉鶴氏は24日の発言で、中国当局の自由貿易姿勢を強調した。しかし、欧米政府関係者や企業は、中国が市場開放や自由貿易を実施していくことを疑問視した。
英メディア「BBC放送」(25日付)によると、ドイツのマイケル・クラウス駐中国大使は大使館ホームページに掲載した声明で、「中国の政治指導部はこれまで、外国企業に市場開放を一段と進めて、ドイツと中国の企業に公平な競争環境を作り出し、知的財産権を保護していくと約束した。しかし、多くの(ドイツ)企業から、上述の各方面で、直面する困難が逆に増えていると報告を受けている。中国当局は最終的に、公平な競争環境づくりよりも、貿易保護主義を選んでいる」と痛烈に批判した。
ドイツ政府は、同国の企業が中国に進出する際、まず中国企業と合弁事業を立ち上げなければならないこと、また合弁事業は設立後に、重要技術をパートナーとなる中国企業に渡さなければならない慣例は、貿易保護主義の行為だと非難した。
中国当局が「約束通りに実行できるか」は、ドイツ企業を含む外資企業の最大の関心事だ。
独メディア「ドイチェベレ」によると、EU駐中国商会のカルロ・ダンドレア氏は、昨年中国当局が、習主席のダボスでの演説を基に自由貿易に向ける政策を公布したにもかかわらず、この1年間に「政策の実施を目にしたことがない」と述べた。
外国企業は、現在中国当局が逆に市場を閉鎖していると指摘した。インターネット情報サービス業はその1例だという。米グーグルやフェイスブックなど有名企業の中国進出は、当局によって阻まれている。
一部の専門家は、中国当局は政権に有利な自由貿易と、市場開放だけを認めているため、中国共産党政権に脅威をもたらす市場開放を絶対に容認しないとの見解を示した。
一方、米トランプ政権は22日、太陽光パネルと洗濯機の輸入急増に対して、期間4年間の緊急輸入制限(セーフカード)を発動すると発表した。米市場に流入する中国製の安価な太陽光パネルに対して、セーフカード発動1年目には30%の追加課税を科する。
ロス米商務長官は24日、ダボス会議において、真の貿易保護主義者は中国であり、米国ではないと述べた。
(翻訳編集・張哲)