孟母三遷の教え

孟子の母親の姓は「仇」。父親の名は「孟激」といい、孟子が年少の頃に世を去った。孟母は「胎教」の重要性をよく知っていて、『韓詩外伝』の一節によると、「私はこの子を孕んでから、座席がきちんとしていなければ座らず、きれいに切っていないものは食べない。これこそが胎教である」と口にしていたという。

 実際、胎児は母親のお腹の中にいるときから一個の独立した生命体で、母親とよく意思疎通し、母親の喜怒哀楽を解するものだ。母親の心身がきちんと整っており、心が穏やかであれば、自ずと胎児に良いものが伝わり、胎児の知恵と優良な品格を形成するのに、よい影響を与える。

 日常生活の中でも、孟母は息子の起居や暑さ寒さに気をつけただけでなく、言葉と行動で身をもって教え、その人格形成に努めた。孟母は、息子が良くない環境の影響を受けているのに気が付くと、よりよい学習環境を与えるために、あちこちに引っ越した。最後には、鄒(すう、現在の山東省鄒城市)の街中にある学び舎の付近に落ち着いた。家はボロボロであったが、付近にはいつも学生や知識人が往来し、彼らの高雅な雰囲気、落ち着いてゆったりとした風格、優雅な立ち居振る舞いが、付近の住民に目に見えない良い影響を与えていた。

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