米国務長官の更迭、北朝鮮巡る「温度差」引き金に

Steve Holland and Lesley Wroughton

[ワシントン 14日 ロイター] – トランプ米大統領がティラーソン国務長官を更迭したのは、北朝鮮の核問題への対応を巡る意見の相違が主な要因だったことが、内部事情に詳しい複数の関係筋の話で明らかとなった。

ティラーソン氏が当初から北朝鮮との対話を支持していた一方、トランプ大統領は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長から米朝首脳会談の申し出を受ける以前は、同国に最大の圧力をかけ続けることを望んでいたという。

これにより、ティラーソン氏が北朝鮮への譲歩に前向き過ぎるとの懸念が浮上した、と関係筋は明らかにした。

「彼(トランプ大統領)が全幅の信頼をおける誰かを国務長官のポストに置かなければならなかった」と、米高官は言う。

関係筋によると、トランプ大統領はこの数週間、ティラーソン国務長官の後任にポンペオ中央情報局(CIA)長官を、また、新たなCIA長官にはハスペル同副長官を充てる人事変更の手はずを整えていた。

主な狙いは、米朝首脳会談の実現に向けて動き出す前に「地ならし」をしておくことだった。

トランプ氏と金氏は、北朝鮮のミサイル・核プログラムを協議するため、5月末までに首脳会談を行うことで合意している。

北朝鮮による米朝首脳会談の申し出に関し、ティラーソン氏は蚊帳の外に置かれていた。その申し出を伝えるため訪米した韓国代表団と、トランプ大統領が会談し承諾した8日、ティラーソン長官はアフリカを初訪問中だった。

その翌日、ティラーソン氏に辞任する必要があると伝えるよう、トランプ大統領がケリー大統領首席補佐官に指示したと、複数のホワイトハウス当局者は明かす。

ある関係筋によれば、ケリー氏はティラーソン氏をできるだけ守ろうとしたが、トランプ氏はさまざまな問題でティラーソン氏が自身に逆らう傾向があることに対して嫌悪感を強めており、友人らにティラーソン氏をクビにすると話していたという。

そのときナイロビに滞在し、チャドとナイジェリア訪問を控えていたティラーソン氏は、解任発表前に米国に帰国することを要望した。

ティラーソン氏がワシントンに13日戻ってから数時間後、トランプ大統領はツイッターで、ティラーソン氏を国務長官の職から解任し、後任にポンペオCIA長官を充てると発表した。

ティラーソン氏は、なぜ自分が解任されたのか、その理由を知らなかったと国務省関係者は語る。そのうちの1人、ゴールドスタイン国務次官も同日、ホワイトハウスの見解と矛盾する説明をした後に解任された。

31日に退任するティラーソン長官は14日、代行を務めるサリバン副長官に引き継ぐため国務省に戻り、高官らと協議したと、ある国務省当局者は話した。

同当局者は、ティラーソン氏の側近マーガレット・ピーターリン氏とクリスティン・チッコーネ氏も辞任していたと明かした。

ブライアン・フック上級政策顧問が、ティラーソン氏の退任以降も国務省にとどまるかは不明だ。フック氏は16日開催のイラン核合意に関する会合に出席するためウィーンに向かうと、同省は14日発表した。

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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