死体はどこから入手?謎深まる人体標本展=NYT紙
中国大連市には2000年前後、ドイツの解剖学者ギュンター・フォン・ハーゲンス氏などが経営する死体加工場があった。工場で加工された人体の実物標本は、海外の展覧会などに出展されていた。
ハーゲンス氏の死体加工場で、従業員数百人がホルマリン液に浸していた死体を取り出し、整理、切断、解剖、防腐、姿作りなどの処理を行い、同氏が開発した死体処理技術であるプラスティネーション処理した実物標本を製作している。
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ニューヨークタイムズ紙は2006年8月8日、「中国では、過去数年間で、少なくとも十箇所の死体加工場が次々と操業を始めた。安い給料で働く医学生が大勢いる上、安易に死体と臓器を入手でき、政府の監督も甘い」と報道。
「これらの工場で加工された人体標本は、日本や韓国、米国などに展示されているもの」と報じた。ハーゲンス氏は過去十数年間、世界各国で人体標本展を開催し、すでに2億ドルの利益を得ているという。
東京で開かれた人体標本展(Getty Images)
かつてハーゲンス氏の下で働いていた隋鴻錦氏も、独立し、死体工場を設立。ニューヨークで人体標本展を開催した。両者は特許権を巡り係争した。裁判では、不道徳な手段で死体を獲得していると互いに攻撃し合っている。
ハーゲンス氏(Getty Images)
人権活動家は、死体は精神病患者や、処刑された囚人の可能性があると指摘している。2006年6月、大連市の北東部に位置する丹東市では、農家の裏庭で十体の死体が発見された。公安警察は、これらの死体は某外資系工場で違法使用されていると公表した。
ハーゲンス氏の死体工場の周辺には、3つの刑務所があり、死体は収容所に収監された法輪功学習者であるとの証言も浮上している。国内外の法輪功学習者の訴えによると、1999年、江沢民政権下の法輪功弾圧以後、国内の収容所には大量に学習者が収監されているといわれている。
ニューヨークタイムズ紙は、謎に包まれている死体の供給源について「中国で、死体売買の関係者と死体の出所を確定するのは極めて難しい。人体標本展の主催者側も、標本の供給者について誰なのか説明付けていない。公安当局の説明も二転三転し、死体を提供したとされる大学も、後に(遺体提供の)関与を否認したりする」と報じた。
2011年、ハーゲンス博士は独紙ビルト(Bild)に対して、自身がパーキンソン病の末期にあることを明かした。また、死後は自らの遺体を標本として展示する計画があることを公表した。