日本人著者の抗日ドラマ解説書に中国人が「海外まで恥さらし」

中国共産党は、思想統制の一環として史実に反する反日ドラマや映画を製作してきた。近年、アクションやラブストーリーなどのエンターテインメント的な要素を取入れた反日ドラマはますます現実離れしている。中国人ネットユーザーは、こういったドラマを「抗日神劇」と呼んでいる。

中国で今、日本で出版された反日ドラマの解説書、『中国抗日ドラマ読本(意図せざる反日・愛国コメディ、中国ドラマ読本)』(パブリブ社、4月10日発売)に注目が集まっている。

著者の岩田宇伯氏は、中国で放送された21作品を基に、各ドラマの内容や登場人物を細かく解説した。日本人の視点から、荒唐無稽な抗日ドラマは「時代背景を完全に無視」とし、突っ込みどころ満載でギャグが多いと指摘した。

同書を販売するアマゾンに掲載された著者の紹介によると、同氏は出張で行った上海で抗日ドラマに出会う。上海の路上で何度も詐欺に遭いかけ、これはマズいと思い中国語学習を決意。勉強の一環で中国ドラマを見始めるも、メチャクチャな抗日ドラマの魅力にハマり、以来抗日ドラマを中国語学習の教材にしたという。

中国国内でも、「私のおじいちゃんは9歳の時に(日本兵に)殺された」「同士よ、8年間の抗日戦争が今始まろうとしています」「素手で日本兵を引き裂いた」と、矛盾だらけであきれる内容が多い抗日ドラマについて、「脳洞大開(すごい妄想だ)」と大受けする人が多い。

この本について、中国ネット上では「日本人の資料作成の能力がすごい」「(作者の)抗日ドラマが愛国コメディであるとの観点に反論できない」と褒める人がいる。また、「海外まで恥さらしになった」「抗日ドラマは、中国最大の偽物製造産業だ」などの批判もある。

ネットユーザーは、中国のテレビや映画などの検閲当局に対して非難の矛先を向けた。「毎日、このゲーム、あの動画を禁止したり閉鎖したりしているが、抗日ドラマだけは禁止しない」「禁止すべきものを禁止しない。(反日)イデオロギーのために、ゴミのような抗日神劇を放任して、本当に恥知らず!」

世論の批判を受けて、中国政府系メディアも、異例に抗日ドラマを非難し始めた。中国共産党機関紙・人民日報系の「環球日報」電子版は、「(抗日ドラマで)恥をかいた」とした。「中国青年報」は評論記事で、「馬鹿馬鹿しい抗日ドラマは歴史を歪曲した」と批判した。

この報道に対して、一部のネットユーザーはコメント欄で、「広電総局(検閲当局の国家広播電影電視総局)が責任の一部を負わなければならない」「抗日神劇の製作側を非難してはいけない。脚本担当者が作品を『政治審査』に通過させるのに必死だ。(蒋介石が率いた)国軍が抗日したと書けるか?」とプロパガンダ宣伝を続ける当局を批判した。

(翻訳編集・張哲)

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