20年前の性的暴行事件で揺れる名門・北京大 対応に批判高まる
20年前、教授から性的暴行を受けた女子大生の自殺事件をめぐって、中国の名門大学北京大は矢面に立たされている。教授に対する処分の軽さと、当時の情報公開を要求する在学生を軟禁するなどの対応に、世論から厳しい声が上がっている。一方、軟禁された学生を支持する壁新聞がキャンパス内に貼り出され、国内で支援の動きが広がっている。
1998年3月、北京大2年の高岩さんは指導教官の沈陽教授(現南京大学文学部教授)から日常的に性的関係を迫られたことを苦に、自宅で自ら命を絶った。高さんの同級生は今年、最近広がりを見せているMe Too運動に触発され、事件を告発した。
告発を受け、大学側の対応は沈教授について、当時「女子学生に対して不適切な行動があった」として、すでに処分を行ったとの返答にとどまった。南京大学は沈教授に対して辞職を勧告した。一方、沈陽氏は告発が「誹謗中傷」だと反論した。
9日、北京大外国語学院4年の岳昕氏ら8人は、北京大学に対して当時の処分に関する情報の開示を請求した。
しかし23日早朝、大学職員が岳氏の母親とともに寮を訪れ、パソコンや携帯内の関連情報を削除し、この問題に関わらないよう求められた。「予定通りに卒業できない」などの脅迫を受けたと、岳氏はSNSで明かした。母親は学校側の圧力を受けて精神的に追い込まれているという。
これに対して、岳氏は大学に謝罪を求めた。「情報公開を求めることが何の罪になるのか。この権利を行使したことは、北京大の学生として光栄だ」とインターネットで訴えた。他の学生はキャンパス内で「同氏の勇気に尊敬する」と応援する壁新聞を貼り出した。
ネット上の岳氏の投稿と関連報道はまもなく削除され、壁新聞も撤去されたが、その後も応援メッセージが投稿された。
一部の海外メディアの報道によると、岳氏は今、自宅軟禁状態だという。
北京大学の壁新聞と言えば、かつて六四天安門事件や文化大革命の引き金ともなっただけに、この話題は海外メディアにも注目されている。
大紀元時事評論員の周暁輝氏は、名門中の名門で、中国の学術の最高峰である北京大学が中国当局の言論統制に完全に服従していると非難した。
「大学側の対応は、北京大の信用と権威を失墜させかねない」と周氏は指摘した。
(翻訳編集・張哲)