中国ZTE 主要事業の運営を停止へ、元技術者「半導体国産化が不可能」
中国通信大手の中興通訊(ZTE)は9日、米政府の制裁を受けて主要事業の運営継続は不可能と発表した。中国当局は先日開催された米中通商協議で、米側に対してZTEへの制裁措置を解除するよう要求した。
中国国内メディア・財新網によると、同取引禁止令が実行された日から、米国からの部品調達がストップし、ZTEの国内工場では大部分の生産ラインが操業停止となった。
英ロンドンに本部を置く世界大手監査法人プライス・ウォーター・ハウスクーパース(PwC)の統計によると、近年中国製造業は、世界各地で製造されている半導体総量の約6割を使っている。しかし、中国の国産半導体はそのうちの16%にとどまっている。半導体輸入額は毎年2000億ドル(約21兆8000億円)と原油輸入額を上回り、中国最大の輸入品目となった。
中国当局は実に18年前から半導体の海外依存からの脱却を目指してきた。2014年にチップ生産に必要な資金を提供する「国家集積回路産業投資ファンド」を設立した。総資金規模は200億ドル(約2兆1800億円)あまり。
しかし、国内技術者は、半導体の完全な国産化は実現できないとの見方を示した。
人工知能やビッグデータなどの情報を発信する中国メディア「新智元」はこのほど、過去半導体開発に関わった技術者からの寄稿を掲載した。
それによると、中国企業が半導体チップの生産において、「CPUのRTLコードは中国業者が書いたものだが、SoCのいくつかのモジュールのIPコアは海外から購入してきたものだ。設計過程では米企業のEDAソフトを使用し、(半導体製造の最後段階である)テープアウトは台湾に出向いて、そこでしなければならない。そのテープ上のPLL回路はブラックボックス化されており、ライセンスがなければ使用できない」「中国が海外の技術に頼らないで、独自に半導体を開発することは全く不可能だ」
記事の執筆者は、中国最高技術研究機関「北京大学微処理器研究開発センター」で9年間勤めていたとしている。
この記事に対して、ZTEに勤務している匿名のネットユーザーはコメント欄で、「ZTEを含めてファーウェイやハイアールなど中国大手製造企業が、使っている核心的な半導体チップはすべて海外から輸入している」「国産チップは簡単で補助的な機能しかない」とした。
このユーザーによると、一部の中国企業は海外の半導体チップの構造を模倣して生産している。しかし、このようないわゆる国産半導体製品の機能はほとんど、元の半導体より劣っている。
また、幹部の腐敗も半導体の国産化が成功しない理由の一つだ。
米紙・ウォールストリート・ジャーナルによると、中国当局は半導体の開発生産でこれまで約1500億ドル(約16兆3500億円)の資金を投じたと米専門家は推測する。
しかし、国内メディア「新京報」などは16年1月、中国科学技術の開発費用のうちの6割は、頻繁な海外出張や会議開催や娯楽などに費やされたと指摘した。
技術者の不足も深刻だ。記事の執筆者は「半導体チップの基礎研究をしても安い給料では、住宅価格が高騰するなか、マイホームを買えないし、生活も苦しくなる」と不満を漏らし、「多くの人が辞めた」と述べた。この執筆者自身も現在、米グーグル系企業に勤務しているという。
(翻訳編集・張哲)