ドイツ政府は、自動車大手ダイムラーの筆頭株主、中国吉利控股集団の李書福氏に対して、情報開示規制の違反として罰金を検討している。写真は、ダイムラー傘下メルセデスベンツの電気自動車ブランドEQ。(曹景哲/大紀元)

独、ダイムラー中国人大株主に罰金を検討 証券取引法違反で

ドイツ政府はこのほど、ドイツ自動車大手ダイムラーの筆頭株主、中国同業大手浙江吉利控股集団の李書福会長に対して、巨額の罰金を検討していることが分かった。金融当局は、李氏が法令で定められた日にダイムラーの株取得について情報開示をしなかったとした。

李書福氏は、2月22日夜ダイムラーとの間で株式買収の契約を結んだ。ダイムラー側は23日、李氏が同社の株式9.69%を取得し、筆頭株主になったと発表した。

ドイツ複数のメディアによると、李氏側は23日にドイツ当局に対して、ダイムラーの株取得を報告した。しかし、ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)のスポークスマンは今月14日、李氏がドイツの『証券取引法』に違反した疑いがあると指摘した。李書福氏は2月22日に届出書を出し、情報開示をすべきだったという。

同国では、投資家が企業における議決権付き株式の保有比率が3%、5%、10%を超えた場合、政府に通知することを義務付けられている。

ドイツ政府や世論は2月、中国当局に近い関係にある李書福氏が、メルセデスベンツの親会社であるダイムラーの株保有について懸念を示した。2月27日、BaFinは、同買収案について情報開示の規制順守について調査すると表明した。BaFinは今月9日『証券取引法』を改正したばかり。

ロイター通信(3月18日付)によると、李書福氏はダイムラーの株取得を1年前から計画し、香港にある複数のペーパーカンパニーや、金融デリバティブ商品、銀行融資を駆使した。このため、取引の構造が複雑で、資金提供元についての判断が難しいという。

また、米投資銀行のモルガン・スタンレーとバンクオブアメリカ・メリルリンチが、ダイムラーの株取得をめぐって、李氏は、直ちに情報開示義務が生じないよう取引の策略を考案し、ダイムラー株の買い増しを行ったと指摘した。モルガン・スタンレーは李氏らに資金も融資した。

同国の法令では、投資家が個人で、情報開示規制に違反した場合、最高200万ユーロ(約2億6050万円)の罰金を科される。企業法人の場合、罰金金額は同企業の年度売上高の10%に相当する。吉利控股集団の17年年度決算によると、同年の売上収益は2700億元(約4兆6755億円)。

一方、ドイツ政府は、近年中国企業によるドイツ企業の買収が急増することに警戒感を増している。

独経済紙・ハンデルスブラットの3月の報道によると、ドイツ政府の介入で、中国国有送電最大手の国家電網によるドイツ送電大手50Hertzの20%株式取得計画が失敗に終わった。

(翻訳編集・張哲)

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