北朝鮮タンカー、東シナ海で「瀬取り」疑い=防衛省
防衛省は5月29日、東シナ海の公海上で同月中旬、北朝鮮船籍タンカーと中国国旗とみられる旗を掲げた船籍不明の小型船舶が横付けしているのを自衛隊機が確認したと発表。政府は国連安保理決議に違反する「瀬取り」の疑いが強いとして、国連安全保障理事会に報告した。
防衛省によると5月19日未明、ライトをつけた両船舶は横付けして、蛇管(ホース)を接続していた。政府は、国連安保理決議で禁止されている、海上での船舶間の物資の受け渡し「瀬取り」が強く疑われると判断し、両船舶の写真や船舶名など情報を公開した。
このたび報告された北朝鮮船籍タンカー「JI SONG 6号」は今年3月、国連安保理北朝鮮制裁委員会から資産凍結・入港禁止の対象に指定された船舶。
外務省は、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会および中国にも連絡した。政府が、北朝鮮が関わる「瀬取り」の疑いを発表したのは今回で5例目。
米財務省が2017年12月に発表した米国偵察衛星の写真によると、同年9月の安保理制裁決議可決以降、中国と北朝鮮による海上密輸は30回以上行われた疑いがあるという。
韓国の朝鮮日報は同年12月、専門家の話として「民間企業が制裁を押し切って交易を続けるはずはない。密輸は中国政府の保護の下、組織的に行われている可能性がある」と伝えた。中朝間の密輸防止を見越した制裁は、すでに筒抜けになっていると指摘されている。
参考:中国と北朝鮮、海上で30回以上も石油を密輸 米国が偵察衛星で現場撮影
政府は、米国に加え、オーストラリアやカナダなど連携国と、在日米軍嘉手納飛行場(沖縄県)を拠点とし、航空機による警戒監視活動を行う。英国防省は4月10日、英国フリゲート艦等を派遣し、北朝鮮による海上での不正取引の監視活動に関わると発表している。
(編集・佐渡道世)