「抗議者の姿が中国訪問団の目に入ってはダメ」6年前の抗議妨害をデンマーク政府が再調査へ
デンマークのソーレン・パペ・ポールセン(Søren Pape Poulsen)司法大臣(法務相)は今月7日、2012年と13年に中国高官が同国を訪問した際、デンマーク警察当局が住民の抗議活動を妨害したことについて、再調査する方針を示した。
12年に当時の胡錦濤中国国家主席がデンマークを訪問した際、法輪功学習者とチベット人抗議者の姿が主席の目に入らないよう、デンマーク警察は車両4台を配置するなど、妨害工作を行った。
13年、当時の中国政治協商会議の兪正声・主席が同国を訪問した際、警察当局は、中国共産党に弾圧されている気功グループ、法輪功の学習者2人をその場から排除した。その後、その2人とチベット支持者のデンマーク人6人は、憲法違反があったとして警察当局を相手取り、訴訟を起こした。
同国の法務省は15年10月に、独立司法権を持つ調査委員会を設置し、調査を行った。17年12月18日に調査結果を発表した。
2000ページを超える報告書によると、駐デンマーク中国大使館は事前に各レベルの政府高官や関係者に接触し、圧力をかけていたという。
調査では、「対応マニュアル」があったと結論付けた。マニュアルは、中国国家主席に抗議活動の光景が見えないよう警戒態勢を敷く、という内容だった。「抗議者が見えたかどうかが、訪問の成否を判断する基準だと大使館は強調していた」
報告書では、コペンハーゲン市警察当局は、抗議の妨害に責任を取るべきだと指摘した。コペンハーゲン市警の幹部2人に対して責任を追及するという。また、200人余りの抗議者に対して、1人当たり2万デンマーク・クローネ(約34万6000円)の損害賠償を支給する。
ただ、調査委員会は、警察当局の当時の担当幹部はすでに退職したため、「政府上層部から指示があったのかどうかは不明だ」と結論付けた。
報告書が公表されたのち、市民から「政府上層部からの指令がなければ、警察当局は独断でこのような行動は取らないはず」と異議が噴出した。今年6月4日、ポールセン司法大臣は再調査しないと決定した。
しかし、7日に事態が一転した。同大臣は「警察当局のサーバーの定期メンテナス時、事件に関する当時のEメールを発見した」と発表し、事件の再調査に方針転換した。
事件の再調査を受け、原告の1人、法輪功学習者の鮑さんは、「訴訟を起こした目的は、デンマーク政府を非難するためではない。中国共産党の浸透工作は世界各国に及んでいる。デンマーク政府にもこの事態を認識してほしい」と話した。
デンマーク法輪大法学会のベンニ・ブリクス(Benny Brix)氏は、抗議デモへの妨害は「デンマークの恥だ」と述べた。「しかしこの局面を作り出したのは中国共産党だ」
(翻訳編集・張哲)