中国産原薬の安全性、世界の医薬品サプライチェーンにも影響=英紙
医薬品原料の最大輸出国としての中国の製医薬品の安全性に関する懸念は強まっている。英フィナンシャルタイムズ(FT)6日の報道によると、米国食品医薬品局(FDA)が中国製薬業者に発出した警告書(Warning Letter)は2014年の5通から、2017年の22通と大幅に増加した。警告書の発出は輸入禁止の前段階と見なされている。
7月初めに欧州医薬品庁(EMA)、米国食品医薬品局(FDA) は、中国浙江の華海製薬会社が育種材料を含む高血圧の治療薬の原薬に発がん物質のN―ニトロソジメチルアミンが混入されていると発表した。その後、欧州と北米の22カ国を対象とした同関連医薬品のリコールが実施された。
中国製の医薬品や薬剤成分は世界各国に輸出されている。
米ブルームバーグによると、中国が世界に輸出した医薬品・健康補助食品は昨年、前年比3%増の560億ドル(約5兆7200億円)に達した。市場調査によれば、中国は現在、国内市場に供給する原薬製造企業(API)が約5,000社あり、その内約500社は輸出業者だ。昨年、中国API業者の生産量は世界の生産全体のおよそ4割を占めており、輸出額は290億ドル(約3兆216億円)にのぼった。
中国の原薬製造企業(API)は、イスラエルの製薬大手・Teva Pharmaceuticalや米国のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、スイスのノバルティスといった多国籍の製薬企業に原薬材料を提供している。関連する製薬業者によると、アメリカにジェネリック(後発医薬品)輸入の8割を中国、インドの製薬会社が占めている。
だが、中国API業者は製品検査データを「記録」として扱っていないなど、GMP(適正製造基準)違反の問題で、国内外の患者や医師、当局の信頼を得るという点において課題を抱えている。
FT紙の記事は、中国製品の安全性は世界医薬品のサプライチェーンに影響を及ぼすと懸念している。
米国FDA、欧州EMAの中国API業者の警告書発行の件数が増えている。2018年の統計によると、FDAが11通、EMAが6通の警告書を中国API業者に発出した。警告書は、主に中国API業者のデータインテグリティの問題に関わっている。検知した重大な違反が発見される前に、不正の製薬製品は大量に輸出されたと指摘している。
EMAのデータによると、毎年、欧州連合(EU)諸国の中国API業者に対して、20回から40回にかけて査察認定を行う。約10%が不合格と認定されている。
中国製薬企業の製造コストの削減は、製薬水準の低下を招いたとFT紙は分析した。「現在、中国製医薬品に自信がない」と、米国ヘイスティングス・センターの顧問・ギブソン氏(Rosemary Gibson)は7月、英文大紀元記者に話した。
米国の薬事規制専門家協会(Raps)の2016年度報告では、米議会がFDAの医薬品追跡および医薬品流通サプライチェーンに対して懸念の声も上がると言及した。2018年1月、米議会の諮問機関である米中経済安全保障委員会(USCC)が発表した年度報告では、中国は劣悪ニセ医薬品の最大輸出国であると指摘した。
(翻訳編集・柳雅彦)