アングル:NAFTA妥結、「影の立役者」はクシュナー氏

[オタワ/ワシントン 1日 ロイター] – 米国とカナダの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉妥結を主導したのは、表向きには米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表だが、影の立役者はトランプ米大統領の娘婿のジャレッド・クシュナー大統領上級顧問だった。

ライトハイザー代表は記者団に対し「ジャレッドでなければこの合意は実現しなかった」と述べ、30歳以上も年下のクシュナー氏の働きぶりに言及した。トランプ氏は大統領就任直後にクシュナー氏に対し、貿易問題、特にカナダ、メキシコとの通商交渉で助力を求めていた。

複数の関係者によると、クシュナー氏はこれまで政権内で激しい逆風にも見舞われたが、NAFTA再交渉に一貫して関わってきた。

クシュナー氏はライトハイザー氏とも親しく、さらにメキシコのビデガライ外相とはウォール街勤務時代からの知り合いだ。こういった人脈が、米国とメキシコの交渉が8月に先行してまとまる成果につながった。

カナダ側のNAFTA顧問でカナダ労働議会のハサン・ユサフ議長も、カナダのトルドー首相が最も信頼する顧問2人が、交渉の初期段階からクシュナー氏と親密だった、と明かした。

トランプ大統領が交渉期限とした9月末が迫るにつれ、米国とカナダの雰囲気は悪化したが、最後の段階でこういった人間関係のつながりが状況の打開につながった。

クシュナー氏はカナダ側の顧問2人とやり取りを続け、27日には、カナダ側が除外したい争点を知りたいとの米国の意向が伝わった。カナダ側が「超えられない一線」として求めたのは、加盟国間の紛争解決メカニズムである「協定19条」。

交渉に詳しい関係者によると、28日朝までには、米国側はこれ以上、19条について議論を求めないことが明確になった、という。

こういった変化が、特にカナダが重視していた酪農産業でトルドー首相の譲歩を引き出した。

クシュナー氏の奮闘以外にも合意を後押しした要因はある。米国側の関係者によると、米国とメキシコが合意を発表した後、両国の政権関係者は、カナダも含めた3カ国でなければ議会は通過できない、と考えるようになった。

成果ゼロのリスクを避け、合意をまとめるため、メキシコのビデガライ外相とグアハルド経済相は舞台裏で米国とカナダ側の関係者に働き掛けを行った。クシュナー氏とビデガライ外相が友人同士だったことが、ライトハイザー代表とカナダのフリーランド外相の間で高まっていた緊張を和らげるのにも役立ったという。

また、メキシコ側の関係者によると、先週ニューヨークで行われた国連総会でも、グアハルド経済相がライトハイザー代表とフリーランド外相の橋渡し役として活躍したという。

(David Ljunggren and Steve Holland記者)

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