中国CCTVの女性記者を一時拘束 英保守党会議でスタッフを平手打ち

9月30日、イギリス中部バーミンガムで与党の保守党が主催した会議で、中国国営中央テレビCCTV)の女性記者(48)がボランティアスタッフの香港人男性(24)の顔を叩(たた)いたとして、地元の警察当局に一時拘束された。中国の駐英大使館は、対応が「不当だ」として、保守党に謝罪を求めている。騒動は外交問題に発展している。

同会議は、「香港の自由、法治および自治への浸食」をテーマに、保守党人権委員会と非政府組織(NGO)の「香港観察(Hong Kong Watch)」が共同で開催したもの。会議には、英保守党の大物の政治家のほか、2014年香港で起きた大規模な民主化運動「雨傘運動」の元学生リーダーらも出席した。

「香港観察」がインターネット上に投稿した同会議の動画によると、女性記者が現場にいたスタッフの顔を平手打ちしながら、英語で「私は記者だ」「(スタッフは)私に触れる権利はない、離せ」「恥知らず」と罵声を浴びせた。その場にいた他のスタッフが興奮した女性記者を取りおさえた後、警察に通報した。

 

ドイツメディア・ドイチェベレ(2日付)によると、女性記者は中国CCTVの欧州センターに所属する孔琳琳氏。同会議では、英保守党人権委員会のベネディクト・ロジャース副主席が発言中、孔記者が突然、「あなたは反中(分子)だ。中国を分裂させようとしている」などと怒鳴り散らした。このため、会議の司会者は孔記者に退場を求めた。ボランティアのEnoch Lieu氏が孔氏に退場の案内をしようとした時に、平手打ちの被害を受けた。

Enoch Lieu氏はTwitter(ツィッター)で、孔氏に2回叩かれたことを明かした。また同氏はフランス通信(AFP)に対して、保守党の党大会で起きた孔記者の行動は「イギリスの民主主義に衝撃を与えた」と述べた。

いっぽう、在英中国大使館とCCTV当局は、英保守党側に対して謝罪を要求している。大使館が9月30日に発表した声明では、「孔記者は当時質問し、意見を述べただけで、妨害に遭い、逆に襲撃された」と反論した。また、大使館側が同会議は反中派および中国分裂分子を支持し、香港政治に干渉したとして強く反発した。

ドイチェベレによると、メディアから中国当局に謝罪するかどうかと質問された英保守党のスポークスマンは、「関係者の会議出席証を取り消す」と答えることにとどまった。

(翻訳編集・張哲)

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