アングル:ねじれ生んだ米中間選挙、留意すべき7つのポイント

James Oliphant

[ワシントン 7日 ロイター] – 6日の米中間選挙では民主党が下院で多数派を奪還したが、上院は共和党が過半数を維持して「ねじれ」状態となった。選挙結果を受け、留意すべき7つの点は以下の通り。

(1)都市と地方の分断がこれまで以上に広がった。民主党は予想通り、バージニア州やペンシルベニア州などの都市近郊の選挙区で勝利した。だが民主党はインディアナ、ミズーリ、ノースダコタなど地方の州で敗れた。民主党は依然ブルーカラーの白人有権者層の支持獲得で苦戦している。

(2)トランプ大統領は動かし難い政治勢力として政権にとどまる。民主党は下院選での勝利で、女性やマイノリティー、若年層、都市近郊の有権者間でのトランプ大統領の不人気に乗じた。共和党は選挙戦終盤の追い上げが上院での勝利につながったと主張している。大統領はフロリダやオハイオなどの激戦州で依然として人気が高いことを示した。

(3)民主党の急進左派にとっては厳しい選挙結果となった。テキサス州上院選のベト・オルーク氏、フロリダ州知事選のアンドリュー・ギラム氏、オハイオ州知事選のリチャード・コードレイ氏はいずれも、全米で人気を巻き起こしながらも、勝利には至らなかった。これらの敗戦からは、2020年大統領選の民主党予備選で左派急進派候補が勢い付くのは難しいと読み取れる。

(4)共和党は知事選では民主党の攻勢の波を抑え込んだ。トランプ大統領が支持するロン・デサンティス氏はフロリダ州、マイク・デワイン氏はオハイオ州、キム・レイノルズ氏はアイオワ州の知事にそれぞれ当選した。これら3州は大統領選でも激戦州となっている。

(5)共和党は一層「トランプ色」を強めている。同党のボブ・コーカー氏やジェフ・フレイク氏らトランプ大統領に批判的だった有力議員は引退した。また下院共和党の穏健派であるバージニア州のバーバラ・コムストック氏やコロラド州のマイク・コフマン氏などトランプ氏と一定の距離を保っていた議員は、中間選挙で敗れた。一方、共和党現職議員の大半は議席を維持した。

(6)選挙戦終盤に提起された争点が、共和党に追い風となった。同党は、米最高裁判事候補ブレット・カバノー氏の承認を上院民主党が断固として阻止する姿勢を示すまでは、支持基盤を固める手法を見い出すのに苦労していた。カバノー氏の承認に当初は賛成しておきながら、その後に態度を翻して反対に回った3人の民主党上院議員はいずれも、議席を失った。

中米から米国入りを目指して北上している移民集団(キャラバン)をトランプ大統領がやり玉に挙げ続けたことは、上院の一部選挙区で共和党が劣勢をひっくり返して勝利する要因となったが、下院での敗北につながった可能性もある。

(7)民主党は五大湖周辺州では大きな成功を収めた。2016年の大統領選でトランプ氏が勝利した中西部の工業地帯で、同党は議席を維持した。上院選でウィスコンシン州のタミー・ボールドウィン氏、オハイオ州のシェロッド・ブラウン氏、ペンシルベニア州のボブ・ケーシー氏はいずれも、トランプ大統領が支持する対抗馬から激しく追い上げられることはなかった。これは民主党にとって、2020年の大統領選へ向けて明るい材料だ。

11月7日、6日の米中間選挙では民主党が下院で多数派を奪還したが、上院は共和党が過半数を維持して「ねじれ」状態となった。写真は5日、インディアナで撮影(2018年 ロイター/Carlos Barria)

11月7日、6日の米中間選挙では民主党が下院で多数派を奪還したが、上院は共和党が過半数を維持して「ねじれ」状態となった。写真は5日、インディアナで撮影(2018年 ロイター/Carlos Barria)
関連記事
5月14日(火)、ドナルド・トランプ前大統領のニューヨーク裁判が行われているマンハッタンの裁判所の外で行われた短い記者会見で、マイク・ジョンソン下院議長(ルイジアナ州選出)は、この訴訟を「司法の茶番」と強く批判した。元訴訟弁護士で、現在共和党の最高位議員であるジョンソン氏は、この訴訟と米国の司法制度への広範な影響に憤りを表明した。彼はトランプ大統領に直接電話し、裁判に出席したいと伝えたという。
5月14日、バイデン政権はトランプ前大統領の元顧問スティーブ・バノン氏に対する実刑判決の執行を連邦判事に求めた。バノン氏は2022年に議会侮辱罪で禁固4カ月の判決を受けたが、判決を不服として控訴したため、刑は保留されていた。しかし現在、司法省は「もはや『判決を覆すか新しい裁判を命じることになりかねない法律上の実質的な問題』は存在しない」とし、バノン氏の主張をすべて退けた。
全米の大学キャンパスなどで頻発している活発なパレスチナ支援デモに、中国共産党と関連のある団体が資金提供していることが明らかになった。「2024年米大統領選に向けて不安をあおり、若者を過激化させ、米国を不安定化させることが目的」と分析している。
国際人権NGO アムネスティ・インターナショナルが最近発表した報告によると、中国や香港出身の留学生が海外で人権活動に関わった場合、その家族が中共による脅迫や報復を受ける事例があることが指摘された。このような中共の国際的な弾圧の実態が、再び世界の関心を集めている。
WHOは、5月27日に開催される世界保健総会に先立ち、パンデミック条約の一部条項を緩和したが、アメリカの批評家たちは、これらの変更が政策に対する懸念を十分に解決していないと指摘している。