米中貿易戦の影響で中国国内景気一段とが減速し、民間企業が従業員への賃金支払い遅滞やリストラが頻発している(STR/AFP/Getty Images)

中国、景気鈍化で民間企業が苦境 賃金未払い・リストラ頻発

米貿易摩擦の影響で中国国内の景気が減速した。そのあおりを受けた民間企業で賃金支払い遅滞やリストラが頻発している。米ラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

RFA(15日付)によると、広東省東莞市の家具生産会社「名将家具」が経営難のため、従業員への給料未払いが続いた。これに抗議して、14日同社の従業員数人が会社ビルの屋上に集まり、賃金が支払われなければ集団飛び降り自殺すると経営陣に迫った。

東莞市民の鄭さんはRFAに対して、米中貿易摩擦、人件費の高騰、高い税金負担、原油価格の上昇などが原因で、地元の景気が悪化し、多くの民間企業が倒産したと話した。「現在倒産を免れた企業も厳しい経営環境に直面しており、来年には廃業に追い込まれる企業も多数ある。特に輸出関連の企業は非常に苦しい」という。

いっぽう、米アップルの「iPhone」や韓国・サムスン電子のスマートフォンなどに使われるガラススクリーンを生産する世界大手、香港企業「伯恩光学(Biel Crystal)」の広東省恵州市工場では、受注が大幅に減少したことで、このほど約8000人の従業員をリストラした。

RFA(16日付)によると、11月9日から12日まで、リストラに反発した元従業員らは工場の前で大規模な抗議デモを行った。従業員の話では、地元当局は警備隊を派遣しデモの鎮圧にあたった。

「iPhone」の受託生産などを手掛ける富士康科技集団(フォックスコン・テクノロジー)の広東省工場で働く従業員は、同工場が残業を禁じたと話したという。

中国メディア「中国経済網」は15日、農業農村部の8日の発表を引用し、約740万人の出稼ぎ労働者が「起業のため地元に帰った」と報じた。報道は、「ますます多くの農民工、大学・専門学校の卒業生、技術者、企業経営者などが、起業して豊かになるため、広大な農村で活躍を見せるだろう」と強調。ネットユーザーは当局の論調を疑問視している。

30万人以上のフォロワーを持つ経済ブロガー「顔値財経程凌虚」は、「740万人との数値は、この前メディアが報道した『今年上半期に504万社(中国企業の総社数は約3100万社)の企業が倒産した」ことと合致している」と帰郷が農民工の大規模な失業であると主張した。

(翻訳編集・張哲)

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