G20首脳会議、米中問題が中心議題 EUは仲介役の用意=当局者
[ブリュッセル 22日 ロイター] – 欧州連合(EU)の当局者は、来週アルゼンチンで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議では米中通商問題が中心的な議題になるとの見通しを示し、EUには両国間の橋渡し的な役割を果たす用意があるとの立場を示した。
同当局者は「今年のG20首脳会議の成功は、現在見られている通商をめぐる緊張をどの程度緩和できるかにより推し量られる」と指摘。EUは米国が中国の通商慣行について示している懸念の多くを共有しているとしながらも、EUは米国とは異なるアプローチを望んでいると述べた。
EUは世界貿易機関(WTO)を通した対応を推進しているが、米国は一方的な措置を追求。WTOは通商問題を巡る新たな課題に対処する能力を備えていないとの立場を示している。
同当局者は「EUはWTOの改革に取り組むことを目標としている。G20を通して改革に向けた政治的な勢いを取りまとめ、来年のG20首脳会議につなげたい」と指摘。G20首脳は新たなWTO規制を巡る交渉は行わないが、自国の担当相や交渉官に対しどのような変更が必要か指南するとした。
来年は日本がG20議長国となる。
今回のG20首脳会議で採択される共同声明については、市場開放を維持し、保護主義に対抗し、多角的な貿易システムを支持するとのこれまでの文言を維持するようEUが主張するとした。
ただ英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は21日、今回のG20首脳会議で採択される共同声明の草案から「保護主義と闘う」との文言が削除されていると報じている。
同当局者はこのほか、EUは世界的に過剰となっている鉄鋼生産能力や気候変動に関する問題も提起したいと表明。気候変動問題については「米国だけが異なるアプローチをとっている」とし、「EUはこの問題に関して力強い文言を採択することへのコミットメントを維持する」と述べた。