米ミシガン大学、孔子学院の閉鎖を決定

ミシガン大学は10日、中国共産党のプロパガンダ機関とも言われている孔子学院の来年度閉鎖を発表した。さらに、学内すべての中国文化プロジェクトを再編するという。米国ではこれまで9つの大学が孔子学院の閉鎖を決定した。

ミシガン大学は2009年に孔子学院を設置した。孔子学院は表向きでは中国教育部の資金提供を受けて中国語及び文化を波及させる教育機関だが、中国共産党の掲げる社会主義を浸透させる道具となっていると専門家に非難されてきた。米国議会の中国委員会や超党派議員は、全米の孔子学院を閉鎖するよう求めている。

ミシガン大学は10日、2019年に5年間契約の2期目を終える孔子学院と、3期目契約はしないことを発表した。この決定は、中国の孔子学院本部である中国語教育本部・漢弁にも通知したという。予定された孔子学院の企画である京劇などの文化イベントは2019年6月まで行われる。

声明は、地域社会と教育に資する別の中国芸術プロジェクトを模索していると述べた。2018年9月、ミシガン大学の中国データセンターは「効率が悪い」として閉鎖した。大学広報担当は、閉鎖は学内での審査の結果であり、データセンターは技術的なアップグレードをする必要があったという。

米国の多くの大学が孔子学院を閉鎖

ノースフロリダ大学も今年8月、2019年に満期を迎える孔子学院との契約を延長しないことを決定した。「過去4年間の教室活動と資金援助活動を審査したところ、学校の目標や使命と矛盾していることが分かった」と大学は当時、コメントを発表した。

これまでに米国ではシカゴ大学、ペンシルベニア大学、ウエストフロリダ大学、ノースカロライナ州立大学、アイオワ大学など9つの大学が孔子学院の閉鎖を発表した。

2017年に孔子学院について調査報告を発表した全米学識者協会ディレクターのレイチェル・ピーターソン氏によると、孔子学院の教材には、中国共産党が敏感話題と位置付ける事件や事案について取り上げていない。1989年の学生運動弾圧・六四天安門事件や、迫害されている法輪功、地下教会、ほかチベット、新疆ウイグル自治区の人権侵害問題に触れていない。また、台湾や香港の両岸関係にも言及はなく、共産党政権の政策を全面的に正当化する内容だという。

2018年2月、全米学識者協会のピーター・ウッド代表は、改めて孔子学院を非難する文書を、米国高等教育クロニクルに寄稿した。ウッド代表は、「孔子学院」に中国の高名な思想家・孔子の名を付けているが、中国の影響力を拡大するための道具として利用しているに過ぎないと書いている。

孔子学院と下部組織・孔子課堂は、世界130の国と地域に1500カ所以上ある。中国教育部から派遣された教員が採用され、教育部が支給した教材を使用する。中国国務院は、孔子学院は「核心価値である社会主義を基礎とした教育を広める」「中国の夢を宣伝する」を目的としていると説明している。当局によると、2020年までに世界で1000カ所の孔子学院の設置を目標に掲げている。

孔子学院は2つの大きな疑惑がある。西側諸国の民主主義に基づく学問の自由の侵害、中国諜報部の出先機関として外国機関の情報収集と干渉だ。今年3月までに、米上院議員のマルコ・ルビオ議員、テッド・クルーズ議員、ジョー・ウィルソン議員は高等教育機関におけるスパイや知的財産窃盗を禁止する法案を議会で提出した。また、米司法省には孔子学院を「外国代理人」に登録するよう求めた。登録された代理人は組織活動を米国当局に報告する必要がある。

暗幕の中の契約

2017年4月発表の全米学識者協会によると、米国大学が孔子学院を受け入れることで、少なくとも中国教育部傘下組織である漢語国際推進指導小組弁公室(漢弁)から設立資金として50万ドルを受ける。ウッド代表によると調査は簡単ではなく、機密保持のために米大学運営側と孔子学院との契約過程は公開されていないという。

ウッド代表によると、米大学内のごく一部の人物しか孔子学院との契約内容を知らない。政府系の文化教育機関は英ブリティッシュ・カウンシル、仏アリアンス・フランセーズ、独ゲーテ・インスティトゥートなどがあるが、中国共産党政府による孔子学院の不透明さは「ほかのどんな外国教育機関とも異なる」という。

調査によると、孔子学院の契約にあたり、中国側は大学事務局長や著名な教授を中国に招き接待して、米国大学の会計にプラスとなる中国人留学生の募集を手伝ったりする。その後も、米国大学の研究所と共同研究や協定を結び、関係を深め、米国の技術力や知識を吸収する。

全米学識者協会は米大学に対して、設置する孔子学院の資金提供源や財務状況の透明性を高めるよう要求している。また、同学院を外国代理人に登録することで、国家の安全保障を守ることにつながるとしている。

台湾の在米公館に値する駐サンフランシスコ事務処は、全米学識者協会の見解を支持表明し、中国共産党が管理する孔子学院ではない中華文化の教育や交流が講じられるべきだと主張した。

(翻訳編集・佐渡道世)

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