孔子学院の開所式典…教授が壇上で抗議、横断幕掲げる「習近平とプーチンは協力」

2024/04/11 更新: 2024/04/11

日本でも中国共産党の浸透工作の一環として国会質疑に取り上げられた孔子学院。欧州ですでに数百が閉鎖され、市民の危機感も高い。しかし、この潮流に逆行してスペインのセビリア大学は8日、新たな孔子学院を開所させた。言論の自由に対する侵害を危惧する教授が開所式典で、突如壇上にあがり横断幕を掲げるという大胆な抗議行動に出た。

式典に”乱入”したのは、同大学のアジア研究マル・リエラ教授と卒業生の男性だ。あぜんとする壇上の責任者たちに驚いた様子の出席者たち。壇上には2つの横断幕、その一つには「学問の自由、国家の安全保障、人権、平和を守るための行動」と書かれていた。

もう一つには、現在のウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領と、中国共産党の習近平による支援と協力について示している。リエラ教授は、同院開設自体が「スペインの大学学長会議で宣言した『ウクライナの平和を守るために全力を尽くす』に反する」と壇上で述べた。2人は警備員に退出を迫られるまで、壇上に残り続けた。

大紀元スペイン語版はこのほど、リエラ教授に取材。「孔子学院の設置は、大学の自治と学問の自由、人権や平和の擁護といった理念を脅かすものだ」と訴えた。

両氏は2022年、セビリア大学のミゲル・アンヘル・カストロ学長に孔子学院設置のリスクについて慎重な検討を求める嘆願書を提出。このほか、中国語教育には台湾の機関との協力を検討するよう提言してきた。

「孔子学院は中国政府の指示下で諜報活動やイデオロギーの統制、他国への浸透を担っている」と説明したが、大学側は真摯な議論に応じなかったという。

リエラ教授は台湾のひまわり学生運動や、香港の雨傘運動」とも連携し、中国共産党の圧力に直面するこれら地域の権利を擁護してきた。今年1月には天安門事件の学生リーダー・王丹氏率いる民主化団体の国際選挙監視団に参加し、台湾総統選の監視活動を行った。

リエラ教授は大紀元に、「中国共産党は孔子学院を通じて、軍事面を含むあらゆる分野で情報収集し、自国の力を強化しようとしている。私たちの戦略的、国益的利益を脅かすものだ」と語った。

一方、カストロ学長は式典で、「大学は知の殿堂であり、批判的思考と協働を促進する場だ」と強調。抗議については「建設的な対話の妨げになる」と懸念を示した。

孔子学院は、中国共産党政府の監督下にある機関だ。世界に600以上あり、スペインの大学にも10校設置されているが、浸透工作の懸念が米欧で広がって以降、近年は閉鎖する大学が少なくない。

米国では対中強硬を鮮明にしたトランプ前政権以降、閉鎖が相次ぎ、数百あった孔子学院が現在は5つにまで減少した。政権は孔子学院には「スパイ行為、知的財産の盗難、検閲」などの疑惑があるとして各大学に閉鎖を呼びかけた。

日本には15の大学に設置されているが、国際的な批判を背景に、文部科学省も部分的な状況把握を行なっている。昨年12月には各学校法人に対し、孔子学院の設置経緯や運営体制などの情報公開を求める事務連絡を出した。

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日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。
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