あまりに安全性に関わる事故が頻発しているため、「中国製EVは爆弾を載せているようなもの」と揶揄する声が広がっている。
3月29日夜、中国安徽省の高速道路で中国スマホ大手シャオミ(小米)のEV「SU7」がコンクリート製の中央分離帯に衝突した後、炎上し、乗車していた女子大学生3人が死亡した。
この事故は「SU7」の自動運転機能の利用中に衝突が起きたのではないかと疑われており、衝突して炎上した点、衝突後後ドアも窓もロック解除されなかった点なども問題視されている。遺族らはシャオミ側への説明を求めたが、シャオミ側からは当を得ない説明がなされ、到底、納得がいかないとした遺族らはメーカへの責任追及の姿勢を強めている。
それに加え、この事件をめぐっては中共当局による事件情報の抑え込みとネットでの言論封殺があり、シャオミの不誠実な対応とあいまって、今や中国国内で国民的議論を呼び、シャオミの株価は連日急落しており国民的な怒りの渦中にいる状態だ。
事故車のバッテリーはCATL製か?BYD製か?
そうした中、事故車両に搭載されていたバッテリーの供給元を巡り、業界内で責任の押し付け合いが始まったようだ。今回、事故を起こした「SU7」のスタンダードモデルのバッテリーにはBYD製またはCATL(寧徳時代)製のどちらかが搭載されており、どこ製のバッテリーにするのかは客は選べないようになっているという。
4月2日、複数の中国メディアが、「事故車両のバッテリーがどのメーカーのものか」という問題について注目し始めた。責任追及の事態に、CATL側は「当社のバッテリーではない」と即座に否定しているが、BYD側は沈黙を貫いている。
この中国メディアによる追究に関しては、「シャオミへ向かう圧力の矛先を他に向けるためではないか」といった指摘の声も上がっている。

「キケンな」中国EV責任はどこに?
中国政府はBYDやシャオミ、ファーウェイなどの国産ブランドを「世界をリードする技術企業」として宣伝している。しかし、実態は海外技術の模倣や知的財産の盗用が横行しており、技術力の基盤が脆弱だとの指摘もある。
さらに、熾烈な価格競争にさらされている電動車メーカー各社が急速な市場拡大を優先するあまり、値下げ競争が激化し、競争に伴う品質低下、安全性軽視、未成熟な技術、管理体制の不備といった問題を指摘する声もかねてから高かった。
しかしこうした企業側の問題も、政府による強力な支援(不利情報のもみ消しなども含む)のもとで、改善の兆しは見えない。
中国のEV業界が急成長する一方で、品質や安全性に対する懸念は深まるばかりだ。国家主導の産業政策の下、企業が無責任な製品開発を続け、そして利益優先の姿勢が続く限り、こうした悲劇が止まることはないだろう。
今回の爆燃事故が、中国EVの根本的な問題を見直す契機となるのか、今後の展開が注目される。
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