4月5日、中国広東省深セン市の町に暴走車が現れ、複数の路上屋台もろとも突き飛ばされる事件が起きた。
この件に対する当局発表に対し、ネット上では「うそつき!」との指摘が多く寄せられており、当局の隠ぺい体質が再び問われている。
「社会報復ではないか」の声も上がっているが、今回の件が単なる不幸な交通事故であった可能性は否定はできない。
だが、この件を世間が注目したのは、事件あるいは事故そのものではなく、それを巡る中国共産党(中共)当局の情報公開姿勢だ。
こうした事件、あるいは事故が起こるたび、関連話題のコメント欄に必ず書き込まれるのは「どうせ真相は葬られる」という嘆きだ。
過去に無数に起きた、中共当局による隠ぺいと欺きはいつまで続くのか。国民の当局に対する不信感は、きょうも増幅している。
(当時の様子)
「暴走車」
4月5日午後5時半ごろ、広東省深セン市の路上に出店された複数の露店に自動車が突っ込んだ。
市民が撮影した現場の映像には、破損した車両、散乱する屋台の残骸、倒れた人々を映し出していた。また、女性運転手が車内で電話をかけた後、車外に出て様子を確認する姿もカメラに収められている。
翌日、現地公安当局は同件を交通事故とし、「運転手(35歲、女性)の体調不良による車の制御不能が原因」とする通報を発表した。死者1人・負傷者4人と説明した。

いっぽうで、ネット上では「警察はウソをついてる!」「もっと多くの人が死んだ!」「現場では3人が即死状態だった」とする証言が多く寄せられた。
さらに、「(運転手が)体調不良にしては落ち着きすぎていた」「また体調不良という定番の理由で責任逃れを図るのか」といった当局発表を疑問視する声も多く、事故車両が中共政府が後押しする国産EVメーカーであったことから、「車両の欠陥を隠すためか」と当局による民族企業擁護を疑う声も上がっている。

華人圏では「当局による公式発表など、句読点でさえも信じるな」といわれている。
当局の公式発表を鵜呑みにせず、ネット上で様々な憶測が飛び交う背景には、これまでにも同様の事故が検閲や欺まん発表の操作で曖昧にされてきた過去がある。
今回の事故についても、「もう真実が語られることはないと皆が知っている。問題はそれだ」との声が目立つ。
本件が真に不可抗力による悲劇だったとしても、それを巡る当局の対応がまたしても「真実を隠す体質」を露呈した。
事実と向き合うよりも体裁を優先する姿勢が、市民の疑念と不信を育てている。この構造が変わらない限り、どんな事故も「隠蔽された事件」として語られ続けるだろう。
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