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2024年、激しい経済低迷と社会不安を経験している中国、その様相を象徴するキーワードは「献忠(社会報復)」、「下降」、「内卷(不条理な内部競争)」、「闘争」、「潤(逃避する=海外に移住する)」、「躺平(寝そべり、諦め)」である。
とくに近年では、各地で社会報復を狙った無差別殺傷事件が相次いでいることから専門家は、「国民の不満と怒りが限界に達していることを物語っている」
「不公を放置する限り、中国社会ではさらなる『献忠』事件が続発するだろう」
と警鐘を鳴らしている。
いっぽうで、政府は相変わらず「安定維持」至上で、何かが起こると真っ先に情報封鎖に走る。隠しきれなくなると容疑者の早期判決で「事件」だけを解決する。しかし、根本的解決には背を向けたままだ。

北京で起きた「社会報復」 容疑者は事前に何度も予告していた
3月18日午前、中国共産党政府のお膝元、北京市で社会報復事件が発生した。男は市場露店でにぎわう通りで車を暴走させ、4人を轢き殺し、多数の市民に重軽傷を負わせたと言う。
犯行前、容疑者は前もって離婚を済ませ、子供とも関係を絶つなどして、周到な計画を立てていた。
容疑者は、土地徴用する政府が提示する補償金に不満で、立ち退きを拒否したため、政府が雇った暴力団によって暴力を振るわれ、公安にも拘束された。拘束期間中、政府によって自宅が無断で取り壊された。
住む場所を失った男は政府庁舎前で抗議し、「公安と司法への報復」を宣言した。
男は、過去に自身のSNSで繰り返し、自身が受けた司法の不公を訴え、「社会への報復」を誓っていたという。
しかしその声は、当局の耳に届かず、今回の事件が起きた。

今回の社会報復の実行に際しては、男が前もって離婚を済ませ、子供とも関係を絶ち、資産を移転していた。また、犯行におよぶ20分前は、自身のSNS(中国版TikTok「抖音」)に「社会報復」を予告する動画を配信している。
時事評論家の金然氏は、自身のセルフメディアの時事評論番組「時事金掃描」のなかで、次のように評した。
「今回の件、注目すべき点は、容疑者がSNSで繰り返し社会報復をほのめかし、さらに政府庁舎前で公然と抗議をして社会報復を仄めかしていたにも関わらず、相手にしなかったことだ。ひと昔であれば、抗議の芽など、芽生える前に摘み取られていたのに……これはつまり、中国各地で同様に政府に悪態をつく人があまりに多いし、金欠当局側が手に負えないからではないか!」
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