「人民は権力が無制限の政党を必要としない」 高まる中共政権への怒り 成都市の陸橋に反共横断幕が再び出現

2025/04/15 更新: 2025/04/15

中国民間での中国共産党に対する不満の声は抑圧され続けているが、「覚醒」のうねりは確実に高まっている。

 

これは一時の反抗ではなく、すでに連鎖的な民主運動の萌芽(きざし)である。

2025年4月15日、四川省成都市の陸橋に掲げられた反共産党の垂れ幕が海外SNS上で拡散し大きな話題となっている。

その垂れ幕には「人民は権力が無制限の政党を必要としない」「政治体制改革なくして民族復興なし」「中国に方向を示す者は不要、民主こそが方向だ」といった力強いメッセージが赤字で記されていた。

健全な民主主義国家であれば、このような事をしても逮捕されることはないが、中国共産党(中共)政権の独裁の下で中共批判を行うのは、かなり勇気がいることだ。

これは2022年に北京で発生した「四通橋事件」と酷似しており、「新たな彭載舟(実行者のハンドルネーム)の登場」として称賛の声が集まっている。

垂れ幕を掲げた人物の詳細は不明だが、ネット上では「この標語は一年かけて準備した」との情報がある。

X(旧Twitter)では「これは勇者の行動」「第二、第三の彭載舟が続出している」「中共の抑圧に人民が目覚め始めている」といった投稿が飛び交った。特に、「中国にはもう指導者はいらない、民主が必要だ」という一節には多くの共感と支持が寄せられている。

 

「四通橋事件」

2022年10月13日の正午ごろ、北京「四通橋」の上に、習近平政権を真っ向から批判し、中共党首に対して「独裁の国賊、習近平を罷免せよ!」と名指しで罵倒する横断幕が掲げられた。

彭載舟(ほうさいしゅう 本名・彭立發)氏によるこの単騎での抗議は後に起こる「白紙革命」や「花火革命」の先駆けともなった。以来、彭氏は「四通橋の勇士」と呼ばれ、中国政府に立ち向かう人々の象徴的存在となった。
 

2022年10月13日正午ごろ、北京の陸橋「四通橋」に掲げられた、中国共産党政権へ抗議するスローガン(SNSより)

 

「四通橋事件」後も中共体制への抗議活動が連鎖的に発生しており、続く2023年には北京をはじめ、広東省・河北省などで、反体制メッセージの出現を確認した。2024年にも湖南省で「四通橋事件」と同様の反共スローガンが掲げられている。今回の成都での行動は、こうした一連の市民的反発の延長線上に位置づけられる。

2023年6月3日夜、北京市内でコンサートを開催していた国家体育場近くの塔に一人で登り、星条旗のような垂れ幕を広げ、自由と民主を求める主張が書かれた赤色のビラを撒こうとする女性が現れた。この女性については、大学生であるという情報もあるが、氏名や詳しい背景などはまだ不明。多くのネットユーザーがこの女性に感服し、彼女を「もう1人の彭載舟」と称した。
 

星条旗のような垂れ幕を広げ、自由と民主を求める主張が書かれた赤色のビラを撒こうとした女性、2023年6月3日夜、北京(スクリーンショット)

 

2023年9月27日、河北省石家荘にある陸橋にも「独裁を終わらせる路(結束帝制)」の文字が確認された。

2023年10月1日の「建国記念日」前夜にも、広東省などで自由と民主化を求めるスローガンが現れた。

2024年にも湖南省で大学生の芸融さんは陸橋で「四通橋事件」と同様の反共スローガンを垂れ幕にして掲げ、さらにスローガンはスピーカーによって繰り返し再生されていた。

 

中国湖南省婁底市の陸橋に掲げられた現政権批判の横断幕、2024年(スクリーンショット)

 

これら一連の行動は、習近平政権が「第三期目」に突入する中、経済失速・高官の相次ぐ失脚・若年失業率の上昇など、政権内部の危機とリンクしている。

政府側はすでに「橋の監視員」なる特殊な警備職を配置して対応しているが、国民の怒りはその程度では鎮圧できない状況に達しつつある。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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