3月8日、中国河南省汝州市(じょしゅう-し)の高校内で千人以上の学生による大規模な「抗議事件」が起きた。
学生たちは「家に帰して!」といったスローガンを叫び、教科書を含む学習プリントをビリビリに破り捨てたと言う。
彼らが通う高校で「週末も学校で勉強して」という学校側の方針に抗議しているのだ。
なお、中国では平日は学校の舎で過ごし、週末自宅に帰るという「週末帰宅型」を実施する学校が多い。今回の高校もこれだ。
中国各地で教育当局が、昨年末発表した「普通高校の週休2日制」の制度が、今年初めから実施され始めた。
しかし、今回学生の抗議を引き起こした学校は、「週末であっても引き続き学校に居残って勉強するよう」求めていた。
抗議の前日(7日)、学校は「保護者会」で、学生に代わって「自主的に週末学校に居残って勉強します」の保証書にサインするよう保護者に求めていた。
この学校の動きは生徒の強い反発を招き、ついには抗議へと発展したのだ。
中国の入試は有名で、学生が命の次に大事のは「教科書」だと教えている。そんな大事な教科書を破り捨ててまで抗議しようとするのは、その決心は、もはや「もうどうなってもいい」という覚悟ができていると解釈できる。
このニュースは、中国国内では検閲に遭っているが、一部の抗議動画は、中国以外の華人圏でもシェアされている。
「本当に可哀そうな子供たち」
「あの国の教育どうかしてる!」
といった怒りと嘆きのコメントが広がっている。

重圧
中国人の親は、子供に対して、確かに「教育熱心」で知られている。
我が子にひたすら勉強を強いることも、自分の子供が将来成功することを願う「親の愛」の一つではあろう。
それは、ある程度までは許容されるにしても、あまりの学歴至上主義あるいは立身出世主義は、子供や若者の心身に深刻な「ゆがみ」をもたらす。
日本も、およそ半世紀前(1960年代)には「受験戦争」と呼ばれた異様な時代を経験した。今は、大学が増えすぎて、別の意味で異様な時代になっている。
しかし、いずれにしても、中国の受験環境は、日本のそれよりもはるかに激しく、かつ人間をおかしくするほど奇形的であり、日本にいる私たちには、想像し難いだろう。そうした恐るべき重圧を、中国の10代の子供たちは、まともに受けている
その勉強ぶりを一言で表すとすれば「24時間、机にかじりつく」といっても過言ではない。
「将来のために、勉強して!」親と学校、社会からの「想像を絶する重圧」を一身に受けているのが、中国の子供たちだ。
それゆえに彼らは「心が折れやすい」というガラス細工のような危うさを内包している。
昔から学生の自殺が相次いでいるが、近年では学生の集団自殺の現象が深刻である。しかし、関連情報は「決まって」封殺される。

半月の間に「3人」
3月7日、ある上海市民は「息子が通っている高校では、半月の間に生徒3人が飛び降り自殺した」とSNS通じて明かし、話題になった。
「自殺した3人のうちの1人は息子の隣のクラスの教室から飛び降り、同じ期間内、近隣の高校でも1人が飛び降りた」という。
「いま学生の自殺は本当に多い。子供たちは、大人には想像できないほどのストレスを受けているのだ」
「しかし、こういった情報はすべて当局によって封殺されている」と同市民は国の教育に疑問を感じ、嘆かずにはいられなかった。

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