社会問題 人権なき国での理不尽な一例

中国の警察 労働権利を訴える市民を「精神病院」に強制収容

2025/04/07 更新: 2025/04/07

中国に人権はない。もちろん中国政府はそうとは認めていない。

 

それでも断言する、私がこれまでに見て来た無数の真実が示すように、「中国に人権はない」。

最近中国メディアが報じた事例をお伝えする。

労働者の権利を訴える市民を、警察が「精神病院」に強制的に送ったというケースだ。

2024年6月、安徽省淮南市に住む張坡さんは、長年の労働災害補償問題を解決するため、地元企業の前で抗議をし、その様子を動画撮影した。彼の行動を止めにやってきた職員と争いになり、張さんは致し方なく110番通報した。

しかし、彼は駆けつけてきた警察によって取り調べられ、そのまま無断で、そして無理やり、精神病院へ送られた。

いかなる精神疾患も暴力的傾向もないため、張さんは、当然ながら入院を拒否し、家族も反対した。それでも、司法機関の同意のないまま、警察の指示だけで強制入院が行われた。

精神病院のなかで、張さんは長時間ベッドに縛り付けられ、薬を強制的に服用させられるなど、過酷な扱いを受けた。入院期間中、家族と接触することが許されず、「退院には警察署の許可が必須」とカルテに書かれていたという。

22日に及ぶ入院の後、彼は再び警察により「騒乱挑発罪」の罪で8日間拘留された。

なお、「騒乱挑発罪(尋釁滋事罪)」とは、中国で幅広く摘発に使われる罪名で、当局がポケットに物を入れるように気軽に人を罪に問えるという意味で、「ポケット罪」との呼び名がついた。

張さんは、自身が受けた理不尽を中国メディアに訴え、彼の事例が伝えられた。報道によると、張さんに対して、司法鑑定が行われ、精神疾患を患っていないことが確認されたという。

ネット上では、「精神病院を利用して反抗的な市民を抑圧するのは許されるべきではない」と、批判が殺到した。

中国当局は、異議をとなえる人物を「精神病院という檻(おり)で監禁する」というケースが多数に上る。

近年わかっているだけでも、上海市公安局の分局を単独で襲撃し、6人を殺害した楊佳の母親である王静梅(おう せいばい)さん、習近平国家主席の看板に墨汁をかけた董瑤瓊(董瑶琼とう ようけい)さん、「鉄の鎖の女性」事件の被害者である女性・民間では李莹(りほう)さんと見られている、などである。しかし、こうして明るみに出ている例は、氷山の一角に過ぎない。

しかし今回のケースは、何も当局に異議を唱えているわけではない。これも官と商の癒着か、いずれにしても、権利擁護をする市民の声であっても、不安定要素と判断して安定維持を行う中国共産党(中共)当局の、内心の不安を浮き彫りにする事件である。



SNSで政府批判した元中国人留学生 精神病院で過ごした地獄のような40日

2018年にニュージーランド留学から帰国した24歳の朱爽さんは、2年後に警察当局によって40数日間も精神病院に強制収容され、虐待、電気ショック、不明薬物の強制投与、離婚、妻の強制中絶を体験するとは夢にも思わなかった。



在米 中国領事館前で抗議デモ 中国による「精神病院での弾圧」を非難

中国で精神病は「最も使い勝手の良い罪名」。

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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