国民民主党の榛葉賀津也幹事長は、政府・与党が検討している国民一律の現金給付案について、11日の記者会見で厳しく批判した。同案は物価高やアメリカの関税措置への対応策として浮上しており、1人当たり5万円から10万円の給付が検討されている。しかし、榛葉氏はこれを「バラマキ」と位置づけ、「集めた税金を給付するなら最初から取らなければいい」と指摘した。
財源問題への疑問
榛葉氏は、現金給付に必要な財源規模についても言及した。5万円の給付で約6兆円、10万円では約12兆円が必要になると試算し、「自民党は『103万円の壁』を178万円に引き上げるための7兆〜8兆円の財源がないと言っていたが、それができるなら減税もできるはずだ」と矛盾を指摘した。
さらに、自民党が選挙前に現金給付案を打ち出したことについて、「選挙目当ての政策ではないか」と批判した。「トランプショック(米国の関税措置)を利用して選挙運動のようなことをするべきではない」と述べた。
減税を優先すべきとの主張
榛葉氏は、現金給付よりも減税が優先されるべきだと強調した。特に消費税減税やガソリン税の暫定税率廃止、所得税減税などを実施することで、家計負担を直接的に軽減すべきだと訴えた。また、国民民主党が提案している「103万円の壁」を178万円に引き上げる政策について、「リーズナブルで持続可能な方法だ」と主張した。
与党内で進む現金給付案
政府・与党内では、物価高騰や米国の関税措置による影響を受けた家計支援策として、一律現金給付案が議論されている。所得制限なしで実施される方向で調整が進められており、公明党内からは10万円規模の給付を求める声も出ている。ただし、この案には巨額な財源が必要であり、赤字国債発行による対応が想定されている。
政策論争の焦点に
榛葉氏の発言は、現金給付と減税という経済政策の方向性を巡る重要な論点を浮き彫りにしている。選挙前というタイミングも相まって、この問題は今後さらに議論が活発化することが予想される。与野党間で政策の優先順位や財源確保策についてどのような合意が形成されるか注目される。
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