高市首相 福島訪問「復興に責任貫徹」 除去土壌の県外処分「2030年以降の道筋」提示表明

2025/12/03 更新: 2025/12/03

2025年12月2日、高市早苗首相は就任後初めて福島県を訪問し、東京電力福島第一原子力発電所や帰還困難区域、中間貯蔵施設などを視察した。視察後の記者会見で高市首相は、除去土壌を2045年までに県外で最終処分するという国の約束について「国の責任」と明言。さらに、その実現に向け、2030年以降の具体的なプロセスについても段階的に道筋を示していく考えを新たに表明した。

「全員帰還」と「県外処分」への責任

高市首相は、内堀雅雄福島県知事ら地元首長との面会を経て、復興に向けた現場を視察。会見では「全ての閣僚が復興大臣」というスローガンを改めて掲げ、福島の復興を内閣の最重要課題と位置付けた。

中間貯蔵施設を視察する高市首相(出典:首相官邸ウェブサイト)

特に焦点となったのは、除染作業で発生した土壌(除去土壌)の扱いだ。法律で定められた「2045年3月までの県外最終処分」について、高市首相は「国としての約束であり、法律に規定された国の責任だ」と強調した。 今年8月に策定されたロードマップでは、2030年頃までの取り組みが示されているが、高市首相はこれに加え、「2030年以降の道筋についてもお示しをしてまいりたい」と述べ、候補地選定プロセスなどの具体化を前倒しで進める姿勢を鮮明にした。

土壌貯蔵施設を視察する高市首相(出典:首相官邸ウェブサイト)

また、最終処分量を減らすための「復興再生土」の利用拡大についても言及。首相官邸や霞が関での利用実績に触れつつ、国民の理解醸成に自ら取り組む意欲を示した。

土壌貯蔵施設を視察する高市首相(出典:首相官邸ウェブサイト)

 

廃炉工程と帰還困難区域の解除

福島第一原発の廃炉作業について、高市首相は1号機の大型カバー設置や2号機の燃料デブリ試験的取り出しの進展を確認したとしつつ、「世界に前例のない困難な取り組み」と指摘した。東電経営陣に対し、緊張感を持って作業にあたるよう直接要請したことを明らかにし、2051年の廃止措置終了目標に向けて「国も前面に立って最後まで責任を持つ」と語った。

原子力発電所を視察する高市首相(出典:首相官邸ウェブサイト)
原子力発電所を視察する高市首相(出典:首相官邸ウェブサイト)
原子力発電所を視察する高市首相(出典:首相官邸ウェブサイト)

また、帰還困難区域については、2020年代にかけて帰還意向のある住民全員が戻れるよう環境整備を進めるとともに、「将来的には帰還困難区域の全てを避難指示解除する」との決意を改めて示した。

双葉町の帰還困難区域を視察する高市首相(出典:首相官邸ウェブサイト)

令和7年12月2日、高市首相は福島視察後に記者会見を行った(出典:首相官邸ウェブサイト)

 

大紀元日本の速報記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。
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