震災15年 赤澤経産相が職員へ訓示 「その取組は国民に誇れるか」

2026/03/12 更新: 2026/03/12

2026年3月11日、東日本大震災の発生から15年を迎えるにあたり、赤澤経済産業大臣は省内職員に向けて訓示を行った。訓示では、東京電力福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉と福島の復興が、経済産業省の最重要課題であることが改めて強調された。

2026年3月11日、赤澤経産相は職員への訓示を行った(出典:赤沢りょうせいXアカウント)

赤澤大臣は、自身のライフワークが防災であることに触れ、その原点として御巣鷹山の航空機事故や阪神・淡路大震災の経験を挙げた。その上で、災害時に「大したことではない、自分は大丈夫」と思い込んでしまう「正常性バイアス」の危険性を指摘し、この心理的障壁に打ち勝って自ら周囲を牽引して逃げる「率先避難者」となることの重要性を説いた。

福島復興に関しては、着任直後に福島県を訪問した際、被災地の首長らから経産省の15年間にわたる取り組みに対して深い感謝を伝えられたというエピソードを紹介した。計約0.9gとなった燃料デブリの試験的取り出し成功や、ALPS処理水の着実な海洋放出、避難指示解除などのこれまでの進展を評価し、職員たちの尽力が経産省の掲げる「その取組は国民に誇れるか」という理念を見事に体現していると称賛した。

これからの福島の「創造的復興」に向けては、福島イノベーション・コースト構想のもとで多様な実証や新産業の創出を進める方針を示した。特に、ビッグデータとAIの時代における日本の勝ち筋として、超高齢社会・災害大国・優秀な製造業という特徴に加え、廃炉の現場に「フィジカルAI」を導入しデータ基盤を構築するという構想を掲げた。これは日本のAI・ディープラーニング研究の第一人者であり、人工知能の社会実装などに広く関わっている東京大学大学院工学系研究科の松尾豊教授の協力を得ながら進めるとしており、「その提案は世界に誇れるか」という言葉を世界に向けて実践する挑戦であると述べている。

一方で組織内の変化として、現在では経産省職員の4割以上が震災後の入省者となっている現状を指摘し、震災の記憶と教訓、復興への想いを後世へ継承していくことが重大な責務であると訴えた。また、エネルギー安全保障や脱炭素の観点から原子力を活用していく姿勢を示しつつも、浜岡原発での不正事案にも厳しく言及した。原子力を利用する上で、「安全神話」に陥り悲惨な事故を起こした痛切な反省を一時たりとも忘れてはならないと強く戒め、緊張感を持って安全確保に最優先で取り組むよう関係職員に求めた。

最後に、福島の復興はいまだ途上であり、中間貯蔵施設の除去土壌の県外最終処分や産業復興など、今後も長い闘いが続くと語った。経産省が掲げる「その提案は世界に誇れるか」「その取組は国民に誇れるか」「その行動は自分に誇れるか」という問いを常に自問しながら、世代を超えて福島復興を力強く前に進めていくよう全職員に呼びかけた。

大紀元日本の速報記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。
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